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362.第5番におけるトロンボーンの…困った

2013.5.25


 このベートーヴェン交響曲全曲吹奏楽化にあたって、当初#3で述べたようにトロンボーンの扱いについては悩んだ上、加えております。
 では、トロンボーンが元から編成されている、第5番、第6番、第9番についてどうしたかというと、元からある音はそのまま使い、ビオラ・チェロパートの音の薄くなるところやバスーンの補強(補強というよりバスーンより大きな音になってしまうが)のために音を足しておりました。音を足す考えは、他の交響曲でも同様です。
 つまり、元からある音については特に考えなしに譜面にしている訳です。

 で、現在、第5番の校訂というか見直しをしている訳ですが、トロンボーンついては困ったことが生じているのであります。
 第5番のトロンボーンの登場は第4楽章からであり、これには神がかり的な意味合いがあると思われ、軽んじてはいけないものと思っています(だったら吹奏楽化なんかしなければよいのに)。第1楽章から第3楽章までは、通常の楽器と同じように扱っていますが、第4楽章からは違うのです。ですから、原曲と同じく演奏すべきと考えているのです。
 しかし、実は、そこに困ったことがあるのです。

 例えば、第4楽章の39小節目からを見てみましょう。(細かくて申し訳ありません)

 お分かりになりますでしょうか。この曲中の1st トロンボーンの最高音が、41小節目からの伸ばしの音です。ソプラノ記号の上第三線にありますので、D音です。
 一般にトロンボーンといわれてしまう、テナートロンボーンはB♭管ですので、このD音はHigh Dということになり、まぁ、出せない訳ではないですが、演奏するのに苦しい高音ということになります。
 では、通常のオーケストラではどうしているかというと、アルトトロンボーンというE♭管の少し小さいトロンボーンを使っているのです。この楽器であれば、特に問題の無い音域なのであります。
 ですから、アルトトロンボーンを使えれば、全く問題ではないのですが、通常、吹奏楽団のトロンボーン奏者はアルトトロンボーンなんて持っていないのです。吹奏楽曲では全く使われませんから。
 吹奏楽での第5番第4楽章では、トロンボーントップ奏者はハイトーンの連続を余儀なくされてしまうのです。思いっきり小さいマウスピースを用意するとか、何か手を打つ必要はあるでしょう。あぁ、アルトトロンボーンさえ手に入れば。

 ナンテことを考えている矢先、ある楽器を発見してしまいました。あの、プラスチック製トロンボーンにアルトが登場したのです。価格は15,000円前後。この価格ならば、入手は難しくないでしょう。
 といっても、プラスチックのトロンボーンでベートーヴェンを吹くか?という恐れ多いことが出来るかどうか。やはりプラスチックは拙いですよね。あとは、某中国製とか、とある台湾製とかで10万円未満で入手可能な楽器も有りますけれど。

 最終的には、各演奏者様によしなに演奏して頂くことになるのですが。よろしくお願いいたします。今頃こんなことを言うのもナンですが。

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