直線上に配置

372.チューナーの使い方

2013.8.3


 チューナーとは、オーディオ機器の一つであり、FM、AM放送を受信しステレオ装置で再生するものであります。FM放送はAM放送に比べ音質が優れていたため多くの音楽番組がありました。FM放送を良好に受信するためには、大型のアンテナが必要で…
 という、お約束のボケはここまでにしまして、

 吹奏楽関係者にとってチューナーといえば、楽器で出した音程を確認するための装置であります。現在、中学校や高校の吹奏楽部へ行くと、ほぼ全員が所有しており、クリップ付のマイクをベルの端に付け、常に音程を確認できる状態になっております。
 私の中学生時代 (1976-1978) には吹奏楽部にチューナーは針式の物が一台あったように思います。コンマスが音程を合わせた後、他の部員は耳で確認していました。ティンパニのチューニングは音叉を使っていましたね。
 高専時代 (1979-1983)、吹奏楽部にあったチューナーは、オシロスコープのように波形が現れるブラウン管型。当然1台しかなく、合奏時以外で使えることは稀でした。使い方もなかなか難しかったですし。
 個人でチューナーを持てるようになったのは、それからずいぶん経ってからだと思いますが、今一記憶が有りません。私が入手したのは、#100で書いたYAMAHAのTDM-70でした。今から6年前ですねぇ。この時はメトロノームとして買ったのですけれど。
 今年、私の子供二人が吹奏楽部に入部し、まず「チューナーを買ってくれ」と言われ、各々に買い与えたのでありました。

 さて、ここから本題となる訳です。
 昨年のある時、某中学校にアンサンブルの指導に行ったとき、やはり部員の皆さんはチューナーを楽器に装着していたのでありました。私は訊ねました。
「何のためにチューナーを使っているの?」
答えられる部員はいませんでした。もう一つ訊ねました。
「本番ステージに持って上がれるの?」
上がれないという答えでした。
「だったら、外しておきな。使えない物を付けていても邪魔だし、音程は耳で合わさなければ。」
と私は言いました。
 別の中学校の顧問の先生にチューナーの使い方を訊いてみましたが、あまりすっきりした答えはありませんでした。

 実際のところ、練習中に個人でのチューナーの使用はどのようにするのが良いのでしょうか。便利な機械ですから、使わない手は無いと思うのですが。
 合奏でのハーモニーは耳で聴いて合わせるのが基本でしょう。合ったと思った音がチューナーではどのように現れるかを憶えておくのは一つの手でしょう。まぁ、他のメンバーの音程が狂っていなければですが。
 後は、音程に自信が無い時に目安として確認する、ということはあると思います。
 個人練習で使うときは、自分の音程の癖を知るということも出来ます。
 その他は、うーん、思いつかないなぁ。

 チューナーに頼りすぎると、当然弊害も出てくるわけで、まず思いつくのが耳で合わせることが出来なくなること。ハモっているかどうかの判断が出来なくなるのですね。聴いて心地良い所を探せばいいのですが、探すこともしなくなるでしょう。怖いのは、一つの音には一つの音程しかないと思い込むこと。純正調について全く理解出来なくなってしまいます。

 さらに困ったことが起こることに気づきました。
 楽器を始めたばかりで、まだ十分に楽器を鳴らすことが出来ない状態で、チューナーの音程ばかり気にしていると、鳴らない音をずっと吹き続けてしまうかもしれないこと。楽器が良く鳴るポイントというのは、必ずしも、正確な音程ではないことが多いです。鳴るという感触を知る前に、音程だけを合わせてしまうと、正しい鳴らし方を憶えられないのではしょうか。これは、とても困ったことになります。

 私の子らには、この辺りからちゃんと教えなければ。ただ、困ったことに、親の言うことを聞かない年頃なんだなぁ。 

前を読む 『休むに似たり』TOP 次を読む



Copyright(C)2005-13 T.Miyazawa All Rights Reserved.

直線上に配置