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355.におい

2013.4.8


 『におい』についてであります。『臭い』と書くと、くさい、所謂良くないにおいの事であり、『匂い』と書くと、香り、所謂いいにおいになる様であります。今、知りました。
 その『におい』ですが、どちらのにおいの事かと言うと、どちらにもなってしまうというお話であります。

 『におい』につきましては、随分前になってしまいましたが、#58で書いております。芳香剤などで模したにおいが、元のにおいより頻繁に嗅がれるようになってしまい、立場が変わってしまうというお話でした。
 最近もまた、TV-CMを見ておりますと、洗剤、柔軟剤、シャンプー、防汗剤、マスクなどいろんなものに、いろんな『匂い』が付けられている様であります。しかも、長持ちするとか機能的にも向上しているのですね。
 こういったメーカーの開発についても、TVカメラで潜入する番組があったりして、製造業に携わる者としてはなかなか楽しく視聴しているのですが、『匂い』の開発と言うのも、ブレンダ―さんという人がいて、何百種類もの匂いの元を嗅ぎ分けてブレンドしているようですね。全く大変な能力だと思います。

 ところが、そういった洗剤なり、柔軟剤なりの商品が我が家にはありませんでしたので、実際にはどのような匂いがするのか、私は知らなかったのです。時々、会社などで「いい匂いがするなぁ。」なんて思った時が、そういった商品で洗濯した衣類を着用した人が近くにいたということでしょうか。

 さて、事は東京への出張時、高速バスの中で起こりました。東京へ出張する際は、中央道高速バスを用いて約4時間かけて新宿へ出る訳であります。その日の高速バスはほぼ満席であり、後方窓際に座った私は4時間の惰眠を貪ろうと、さっさと眠りについたのでありました。といっても、限られたスペースの中、快適な睡眠がとれるものではありません。何となーくうつらうつらして、半分意識があるような感じで寝ていました。
 ほぼ満席のバスの中は、室温が上昇し多少してきています。バスの中は、ほとんど空気の対流は無いですから、身の回りの空気がまとわりついてくる感じになるのですね。

 その時です。その、においがしたのは。甘ったるく、且つ、濃厚なにおいが、至近距離から。
 私は、いい匂いであろうと、濃い臭気は苦手であります。喉が痛くなってくるのです。女性が付けている香水なども実は無い方がいいと思っているほどであります。そういったにおいが至近距離からしている訳です。これはたまりません。
 隣りに座っている人か、或いは前後の席か。前の席は、ビジネスマン、隣りは中年男性、後ろは老夫婦。そのような臭気を発しているとは考えにくい人たちです。さて、どこから、その臭気は漂ってくるのか。

 どうも下の方から漂って来ています。突き詰めていくと、自分の胸元から…。ということは、自分の着ているシャツからです。なんと、自分の衣類が、その匂いのする洗剤で洗われていたのです。今まで使っていなかったのに、昨日から使ったということでしょう。そういえば、一人暮らしをしていた子供が帰ってきて、洗剤も一緒に持って帰ってきたのだなぁと、思い当たったのでした。
 これでは、その場で誰に文句を言う事も出来ません。なるべく、匂いを嗅がないように、呼吸を控えめにして一日を過ごしたのでありました。

 ということで、メーカーの皆さんにお願いがあります。何にでも匂いを付けるのはやめて頂きたいのです。少なくとも、匂いが苦手な人もいる訳ですから。付けるとしても、出来るだけ控えめに。お願いいたします。

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