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320.交響曲第5番 吹奏楽版を聴く

2012.8.4


 ある休日、留守番をしておりますと荷物が届きました。差出人は?と見ますと、譜面をお送りした事のある楽団様のお名前。
「あぁ、しまった。演奏会が終わってしまったのか。」
と気付いた私でした。届いた荷物は、演奏会のCDと御礼状でした。

 演奏して頂きましたのは、東埼玉吹奏楽団様。曲は、ベートーヴェン交響曲第5番全楽章。譜面を送る際のメールのやり取りで、別の譜面で練習を進められていたようなのですが、古い譜面であり紛失等もあり私の譜面を参考に見てみたい、というところから始まり、最終的には全楽章使っていただけるという経緯がありました。
 その際、日程のご連絡も頂いており、埼玉ということで日帰りで聴きに伺うことも可能と考えていたのですが、ついうっかり忘れてしまっていたのでした。残念。

 それでも、ライブCDを送っていただけましたので、どのような演奏だったかを伺い知ることが出来ました。
 全曲盤の演奏を聴くのは、#283に書きました田原氏吹奏楽団様+アンコーラ・ムジカ様による第7番に続きまして2回目となります。

 交響曲第5番は日本では『運命』と呼ばれ、世界中で最も有名な交響曲であることは言うまでもありません。皆さん(もちろん私も含め)の耳には、弦楽器を中心に始まるあの響きがこびりついているのです。それが管楽器の音しかしなかったらどうなるのか、、、。

 冒頭、確かに管楽器だけの響き。弦に比べて勢いやスピード感がやや足りないか、という感じ。しかし、これ以上強く吹くと雑になってしまうというぎりぎりの線だと思いました。その後も、非常にパートのバランスをよく考えられ丁寧な演奏がされていることが分かりました。
 聴いた感じでは、東埼玉吹奏楽団様は大きな編成ではなく、30名前後の様です。無理な大音量は避けていることは十分わかりました。

 何よりも感じたのは、しっかりベートーヴェンを演奏しているという意識があるということです。なかなか、説明するのは難しいのですが。

 楽器を学ぼうと、その道に入った場合、ピアノ、ヴァイオリンの場合、ベートーヴェンを習得せずに先に進むことは出来ません。他の弦楽器も、弦楽四重奏やオーケストラ曲でベートーヴェンの演奏をすることを学びます。つまり、ピアノやオーケストラにて演奏する人は多かれ少なかれベートーヴェンについて習得しているものがあるわけです。それが何かを私が説明するのは非常に難しいのですが。
 ところが、吹奏楽から音楽に入った人は全くベートーヴェンを演奏せずに居る場合がほとんどです。そういう訳で、ベートーヴェンの曲の演奏について知らないまま、譜面だけを見て演奏してしまうと、妙ちくりんな演奏になってしまうのです。きっと演奏している人も、何が楽しいのか解らないでしょう。

 で、この東埼玉吹奏楽団様はベートーヴェンを演奏することの意義を解っているというのか、そういう感じで、通常のオーケストラを聴いているのと同じ空気がしているのです。指導者・指揮者がいい音楽づくりをしているのでしょう。
 これはやはり生で聴きたかったなぁと、残念に思うことしきりです。

 第7番に続いて2曲目を聴いたわけですが、第7番に比べれば吹奏楽でやっても違和感は少ないなとも感じました。というより、第7番は吹奏楽でやるには難し過ぎると思います。譜面の見直しも必要でしようねぇ。

 さて、ベートーヴェンの交響曲吹奏楽版の演奏は残り7曲。全曲聴けるのはいつの日になるでしょうか。その前に、全曲譜面を仕上げるのが先ですけれど。 

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