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318.ラヴェルの曲

2012.7.22


 モーリス ラヴェル(1875-1937)はフランスの作曲家で「オーケストレーションの天才」などと呼ばれております。吹奏楽の世界ではバレエ『ダフニスとクロエ』第2組曲が非常に人気があり、超難度の曲でありながら演奏にチャレンジする団体が多いのであります。私の所属する団体でもいつかはチャレンジしてみたいと思っておりましたが、どうやら体力面で無理に近づいているようであります。

 ラヴェルの曲はその他にも、吹奏楽で演奏されるのは『道化師の朝の歌』『スペイン狂詩曲』『ボレロ』などがあります。演奏効果の大きい曲が多く、人気があるのでしょう。

 私が、学生現役時代は今から約30年ほど前で、ラヴェルの著作権は切れていなかったのです。そのため、演奏するためには編曲が許可された譜面でのみ演奏できたのでした。ラヴェルの著作権が日本で切れたのは、没年の1937年から50年が経過し、戦時加算の3794日が満了した、、、いつだったかな、、、まぁ、1998年ころであります。著作権が切れ、パブリックドメインになったわけですが、そのころから、ラヴェルの曲のスコアや吹奏楽編曲譜面が増えだしたのでありました。著作権が切れてから人気が盛り上がるというのも、ちょっといかがなものかという気がしないでもありませんが、まぁ、私もそのパブリックドメインしか編曲しない者ですから、恩恵に預かっているわけであります。

 さて、今回『亡き王女のためのパヴァーヌ』を編曲いたしました。編曲の理由は、#316に書いた通りです。クラリネットが楽をできる編曲。しかし、私はクラリネット吹きではありませんので、何が辛くて何が楽かというのは想像するしかありません。買った譜面よりは楽にしたことは確かだと思います。あんなに違いがあって同じ曲になるのだろうかと思うくらい。

 話をラヴェルに戻しまして。
 ラヴェルという人はピアノ曲でも有名な人であります。管弦楽化された曲の中で、ピアノ版がさきに作曲されたきょくが多くあります。『亡き王女のためのパヴァーヌ』もその一曲です。
 さて、吹奏楽版に編曲するに当たっては、ピアノ版から行うか、管弦楽版から行うかという選択肢があります。ピアノ版から行うには、自分の吹奏楽での響きをイメージする必要があり、音大ではだいたい3年あたりの課題になるようです。私はそのような能力はありませんので(パーカッションに対するインスピレーションがないのですねぇ、、、)、管弦楽版からの編曲をすることになります。そういえば『展覧会の絵』もラヴェル版からでしたね。

 ピアノ曲から吹奏楽に編曲したのは、E.サティの『きみが欲しい』だけかな。手書き時代の譜面なので今はどこにあるかわかりません。最近『私を泣かせてください』もピアノ譜からの編曲でした。その後、管弦楽スコアは入手しましたが、あまり変わっていなかったと思います。
 という訳で、ピアノ曲からの編曲の実績はほとんどありません。

 ただ、ラヴェルのオーケストレーションは複雑で、読み難いところがあるのでピアノ譜があると解りやすくなるという利点があります。
 では、今後ラヴェルの曲を編曲することがあるのか、、、というと。作品リストを眺めたところ、これという曲がありませんねぇ。
 まぁ、いつかは『ダフニスとクロエ』とだけ、思っておきましょう。 

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