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316.クラリネットは休みたい

2012.7.7


 先日、演奏会の選曲について話し合いをしている時のことであります。クラリネットのメンバーが、クラシック曲を加えることに難色を示しているのです。
 曰く、クラシック曲は休めない。続けて、

「今回のメイン曲(クラシック曲であります)は、始めから終わりまでまとまった休みが三小節しかないんですよ。しかも、2/4拍子だから6拍ですよ。6拍。」
 という訳です。そりゃあ、クラシック曲のクラリネットは、弦パートを受け持つことが多いので、演奏の割合が高いのは確かですが、7~8分の中で6拍しかまとまった休符がないと、確かに演奏は楽しいというより苦痛になって来るでしょう。
 その編曲は、日本では名のある方のものだったので間違いはないだろうと思って安心していたのですが、そんなことがあったとは。
 私の編曲でも、基本は弦パートはクラリネットに移しますので、まぁ、そういう苦労を強いているわけであります。確かに、パート譜にする際に、譜めくりのためのまとまった休符が無くて困ることが多いのであります。

 まぁ、メイン曲は変えられないので、追加する曲は休める曲をということで、ゆっくりな曲はどうかというと、
「休めると言った、ゆっくりな曲も、長い音の伸ばしがずっと続くので、結局休めないのですよ。」
 という。
 それも確かでしょう。速いパッセージは、指周りが大変ですが、長い音の伸ばしはアンブシュアを長時間維持しなければならないので、疲労の度合いは大きくなります。

 さて、どうしたものか。どういう曲が良いのか、と尋ねると、
「ちょこっと吹いて、休みがあって、ちょこっと吹いて、休みがある曲。」
 うーむ。クラリネットとしては無理な要求な気がしますが。そもそも、クラリネットは吹奏楽の花形であってもっとも重要なパートであります。クラリネットの音がしないと吹奏楽にはならないと思うのですが。
 確かに言われるように、速いパッセージ、広い音域、長い音、と厳しい要求は多いのですが。そういったことが、クラリネット奏者の苦痛になっていたとは。(もちろん、喜びに感じて頑張っているという面も多いのでしょうけれど)

 で、そうは言ってもその場で一曲を選び、譜面を注文することになりました。市販されている、譜面は2種類あり、A.R.氏の編曲とM.H.氏の編曲のもの。どちら良いかということになりましたが、それはサンプルもなし、音源もなしでは判断が付きません。これまでの評判から言えば、A.R.氏の編曲の方が良いことは分かっていますが、クラリネットへの負担という意味では、解りません。もしかしたら、凝った編曲になっていて、クラリネットとしてはM.H.氏の編曲の方が楽かもしれません。
 迷っていても、話は進みませんので、A.R.氏の編曲版を購入して、難しかったら、譜面を直せばいいよ(誰がとは言いませんでしたが)と言って、一旦は話をまとめました。

 一週間が経ち、譜面が届きました。原曲に比べ、随分音が厚くなっており、当然のごとく、クラリネットはほぼ休みなし、という譜面でした。演奏自体は何とかなるとは思いますが、クラリネットを休ませるという目的は達成できないでしょう。

 という訳で急遽、私が編曲することになりました。市販譜がある曲は(あまり)やらないというポリシーに反しますが、今回は仕方ないでしょう。小節数の多い曲ではないので、長い時間はかからないとは思いますが。元のA.R.氏の編曲を参考にしながら、やりたいと思います。

 少人数バンドでは、クラリネットの人数が揃わないということも多々ありますから、そういった面でも使える譜面にできればいいなと考えてやります。

 曲は何かというと、さりげなくトップページに書いてあったりして、、、。

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