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315.私的標準化

2012.7.1


 会社勤めをしておりますと、『標準化』という仕事をすることがあります。30年近く前の入社当時などはこの『標準化』という意味が解らず、何かを平均的な目安にするということなのかと、曖昧な捉え方をしておりました。
 ここでいう『標準』とは Standard のことで、ある種の決め事のことで、もう少しわかりやすい言葉でいうとマニュアルというものがあると思います。いつの頃だったか、決められたことしかできない人を『マニュアル君』なんて呼んだこともあります。
 国際的な標準としてはISOなんてものがありますし、日本工業規格といえばJISというものがあります。企業などではそこで定めた標準があり、私の勤める会社にもあるわけです。
 つまり、『標準化』というお仕事は、ある業務をする上での手順やルールなどの決まりを作ることでありす。

 『標準化』すると良いことは、次に同じ仕事をするとき、別の人が同じ仕事をするときに、迷わずにできるということで。従っていろいろな業務がある会社では、たくさんの標準が作られることになります。その会社の法律ということになるわけです。
 たくさんの標準が出来てくると困ったことが起きてきます。まず、憶えきれない。結局、仕事をするたびに標準通り行うにはどうしたらよいか調べることから始めなければなりません。

 などと、真面目そうなことを書き始めましたが、そんなことを追及するつもりはさらさら無いのであります。

 私が、このウェブサイトで公開している物は、私の作った楽譜であります。この楽譜つくりというのも、曲は違っても、作業は同じ様に繰り返されるものであります。ですから、譜面の作り方を『標準化』しておけば、新しい曲に取り掛かる際に、どんな手順で、どんな設定で行うか、いちいち考えなくて済むのであります。
 しかし、そこが素人のやること。まず、楽譜を作りたいという気持ちが先に立ってしまいますので、とにかく始めてしまいます。ルールも設定も決めずに。まぁ、最初にFinaleを触り始めた頃などは、何をどうやっていいのかわからなかったので、手探り状態だったわけですけれど。

 何曲か作っているうちに、要領がつかめてきます。そうすると、一定の手順や設定が出来る様になってきます。『標準化』の始まりであります。ところがですね、繰り返し行う作業といっても、一年のうちに3~4回程度しか行わないので、マニュアル化などするわけもなく、また憶えることもなく、なんとなくこんな感じで作ったのかと直前に作った楽譜を見て思い出すわけです。ちゃんとマニュアル化すればよかったと思うわけです。
 しかし、『標準』というものは進化するものでもあります。やっているうちに以前よりも良い方法などを思いつくことがあります。知らなかったことが分かることもあります。そうした場合、マニュアルなんか作っておくと、改訂をしなければならなくなり、来歴管理をしていないと、何が最新かわからなくなったりするのですね。結局、ファイルのタイムスタンプの新しいものを最新と信じるわけですが。

 今、自分の編曲したベートーヴェンの交響曲第1番の楽譜を見てみると、とても作り方が下手で、全部やり直したくなります。手順も何も考えなくてやっていた頃のものですからねぇ。

 そのうち、楽譜づくりの『標準化』をして、第1番から全部やり直してみたいなぁ、なんて考えています。あくまでも、そのうちでありますけれど。

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