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257.手づくりアクセサリー Vol.2

2010.8.15


 さて、管楽器のための手づくりアクセサリーシリーズ第ニ弾です。第一弾はいつやったかって? #251でやったユーフォニアム枕ですね。そのときは第二弾をやるつもりはなかったので、第一弾とは言っていませんけれど。
 ユーフォニアム枕の結果ですが、楽器と枕が滑ってしまって思うように固定できないという不具合がありました。クッションケースの材質がサラサラで滑り易いのです。ゴムシートを貼れば解決するでしょうが、今度はゴムが楽器の銀メッキやラッカーを変色させてしまいそうなので実施を躊躇しております。変色の心配のない滑り止め可能なシート材が見つかったら改善してみたいと思っています。

 というわけで第二弾は何を作るかといいますと、
チューバ用のミュート
 であります。チューバ用のミュートは曲の演奏では滅多に使う事はありません。私自身が参加したコンサートで使用したことはありませんでしたし、使用しているコンサートを観たことも1、2回ではないかと思います。それほど、演奏上では珍しい物であります。しかし、自宅での練習などで大きな音が出せない場合などは、必要になるでしょう。
 実際に買えば幾ら位するものなのかを、ちょっとネット検索してみました。一番安いものでは1.5万円くらいの物も有るようですが、売れ筋としては3~5万円といったところでしょうか。本番で滅多に使うことがない物に、この値段は高いなぁ。

 では自分で作ってしまいましょう。

 ミュートの自作といえば、中学生時代にカップ麺の空きカップ(材質:発泡スチロール)を利用して作ってきたヤツがいましたが、他のメンバーにあっという間にボロボロにされてしまいました。かなり丁寧に作ってきたようでしたが、かわいそうだったなぁ。まぁ、ミュートの性能としてはダメだったようですが。

 それはさておき

 まず、ミュートの構造のおさらいです。
 外観は楽器のベル内側形状に添った形でラッパ型か円錐台になっております。内側は空洞のようです。壷のように楽器のマウスピース側に口が開いています。ベルを完全に塞いでしまいますと、息が抜けなくなりますので、コルクなどで隙間を空けてベルに装着する様になっています。 トランペットのワウワウミュートなどのように、コルク部分は完全に塞いでしまい、ミュート先端に小さな穴を開けたものもあります。
 材質は、アルミ板か木製(ベニア板をメガフォン状に成型しているのかな?)が殆どです。

 今回は、一般的な壷のようなタイプを作ります。といっても、アルミ板金を絞り加工するとか、ベニア板を丸けることなんてできません。従いまして、市販されている似たような形のものを流用するのであります。

 では、早速お店へ行って物色です。最初にホームセンターへ行ってしまいそうですが、先日の中国出張前に学んだこと、
 まず100均で出来るだけそろえること。その次にホームセンター。

 はい、では近所の100均で物色です。円錐台状の物を探します。例えば、バケツとか。バケツの場合広い方が大きく開いていますのでそこを塞ぐ物も必要です。塞ぐためには接合する物質も必要になります。楽器に装着する部分のコルクも要ります。
 いろいろ見ましたが、ここで買ったのは、プラスチック製ゴミ箱、ステンレスボウル、プラスチック製の花立て、プラスチック製のお椀、などを買いました。プラスチック製というのがちょっと気に入りません。ミュートの材質としてどうなのでしょうか。剛性がなくて締まりのない音になりそうです。
 次に、ホームセンターです。ステンレスを接合するには、溶接かハンダ付けです。ウチには溶接の設備などありませんのでステンレス用のハンダを購入しました。ハンダにはフラックスが必要ですが、このステンレスハンダ用のフラックスは強酸性という事でちょっと物騒な代物でビビリながら購入。あとは接着剤。“ウルトラ多用途”と書かれ、金属からプラスチックまでOKという物を買いました。それから、ちょうど大きさがいい感じのブリキのバケツを発見して購入。
 という感じで買い物を終えました。総額で2,000円位でしょう。

 では工作開始です。何をミュート本体として使用しましょうか。最後に買ったブリキのバケツが良いと思ったのですが、取っ手を外すのが難しそうなことと、口元の平面度が意外と悪くステンレスボウルを接合しようとするとかなりの隙間が開いてしまいそうです。バケツの形を整えるのに時間が掛かりそうだったので、一旦諦めました。ということで、
 
 このプラスチック製のゴミ箱を使用することにしました。最初にそこの真ん中に穴を開けます。マジックで書いた線に沿って小さめのドリルで多数の穴を開け、真ん中を切り取ります。ヤスリで切り取った淵を円形に整えます。
 
 次にどういう理屈か私も分かりませんが、この穴にゴミ箱の内側から筒をつけなければならないと考えました。いや、ほんとに理屈は分かりません。多分、スピーカー工作の時の「バスレフダクトをつける」ということが頭にあったのでしょう。
 外形5cm、長さ18cm程の花立を用意しました。
 
 これを6cm(根拠はありません)のところで切断し、端面をヤスリ掛けして平滑にします。
 
 こうなります。これを先程穴を開けたゴミ箱の底に接着します。もちろんゴミ箱の穴はこの筒の内径に合わせておく必要があります。
 
 こうなりました。果たして意味があるのか私にも不明です。次にこのゴミ箱の口径に合ったステンレスボウルを用意します。
 
 これを、先程のゴミ箱に口を合わせるようにして接着します。
 
 接着剤が硬化するまで待ちます。ちなみにこの接着剤では、“実用強度1時間後、完全硬化24時間後”だそうです。まぁ、大体硬化したと思われたところで、コルクを貼り付けます。
 
 おっと、これではダメです。空気が抜けるところがありません。貼り直しです。
 
 こんな感じですね。接着剤が完全硬化するまで一晩置いて、楽器につけて演奏してみました。サイズはピッタリです。
 
 さて演奏感ですが、確かに音は小さくなりました。ミュートの第一機能としては成功でしょう。
 音色としては、軟質のプラスチックの感触どおり、芯のないボケたような音になっています。やはり金属バケツの方が固めの音になるのかなぁ。
 ですが、ちょっとした問題がありました。音の当たりがあやふやなので何の音を吹いているのかが分かりにくいのです。例えば、ミュートを外した状態でを吹いて、そのままミュートをつけるとで吹いていることは分かるのですが、いきなりミュートをつけた状態でを吹こうとしても分からないのです。
 しかし、これがミュートとして不良なのかも分からないのです。何しろ本物のミュートを使って吹いたことがないので、、、、。
 しばらく吹いていると音程も取りやすくなってきたので、単に私のウォームアップが足りなかった所為かも知れません。
 今後、いくつか材質や容量を変えてみて差が出るのか作ってみたいと思います。そのうちチューバミュートのメーカーになったりして、、、。有り得んなぁ、、。


 さて、その後問題発覚。内側に接着した筒がポロッと取れてしまったのです。接着剤の選択を誤ったらしいのです。
 私の業務でも接着剤の選択というのは非常に慎重に行わなければならないものでして、材質に合っていないと良好な接着は得られないことは十分承知していたのですが、“ウルトラ多用途、金属からプラスチックまでOK”ということを鵜呑みにしてしまい、ゴミ箱の材質を確認しないでおりました。
 ゴミ箱の材質は、PP(ポリプロピレン)でした。PPというプラスチックは接着が非常にし難い材質なのです。使用した接着剤の説明書を良く見てみると「PPはNG」と書いてあるではないですか。私としたことが。
 というわけで、PPを接着できる接着剤を探しに再びホームセンターへ行ったのでありました。そしてPPを接着可能な別メーカーの“スーパー多用途”という接着剤を購入いたしました。
 (“ウルトラ多用途”より“スーパー多用途”の方が強いのかぁ)

 あとは、接着し直して完成です。
 今度、市吹のチューバ吹きに試してもらいましょう。

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