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256.タンギング

2010.8.9


 中学校を卒業して2、3年目のことだったと思いますが、母校中学校の吹奏楽の練習に遊びに行っていたのでありました。当時、私は指導なんて事は出来ずに一緒に吹いて多少威張っていた程度でした。その時は、私にも先輩に当たるトランペットで音楽大学へ進まれた方が見えておりました。その先輩は、私と違いちゃんと指導をしておりました。

 先輩は中学生に向かってタンギングの説明をし始めました。完全に憶えていませんが、大体こんな感じでした。
「フーと息を吐いているときに、舌を上あごの歯の根元辺りに当てると、息が止まるでしょう。この時に舌を離す動きがタンギングの基本。『トゥー』とか、無理に力んではいけない。」
 その後見た教則本でも同じことが書いてありましたので間違いではないはずです。私もそのように覚え、学生指揮時代や市民吹奏楽団での指揮、小中学校での指導でもそのように教えてきました。

 逆の悪い例が一つあって、消防のラッパ隊の指導です。消防ラッパ隊というのは、ある地区である年齢に達するとまず消防隊に入隊し、人数の関係だかなんだか知りませんがラッパ隊に振り分けられて編成されるもので、金管楽器の経験者などはごくわずかな団体です。もちろん最初から音の出る人などは殆どいませんので、発音の仕方から教えられるのですが、まぁ、例えばこんな感じです。
「ティッシュの小さく丸めたのとか、スイカの種とかをすぼめた唇の先に置いて、『プッ』と吹き飛ばす。これと同じようにしてマウスピースを当てると音が出る。」
マウスピースに唇を当てたこともない人への最初の説明ですから仕方ない面もありますが、これで音が出たとすると、イコール、タンギングの説明にしているのですね。教えている方も金管楽器の専門家ではないので、本当に仕方ないとは思いますけれど。

 そんなわけで、私は正しいタンギングをしている物と思っていたのですが、どうもここの所、いい音で発音が出来ていないなぁと思っていたのです。それは、楽器を吹く時間が少ないので唇がほぐれなくていい音にならないのだということにしておりました。
 しかし、先日の練習で楽器(ユーフォニアム)を吹いてみたときに、タンギングの時の舌の位置を確認したところ、歯の先の方に舌を当てていたのでした。私の上顎の前歯二本の間には、ちょっとした隙間があって少し舌を当てた位では息を塞ぎきれないのです。そこで舌を広めに前歯に当てるような形になっていたのでした。
 気が付きませんでした。自分で教えてきたことを自分が出来ていなかった。(だから音を出さない指揮者をしていると冗談では言いますが)

 それから、もう少し前に気付いていたことですが、私は低音に行くに従ってアパチュアを広げすぎていたのです。ですから低音でのタンギングもアパチュアを塞ぐために随分歯より先の方まで舌を出していたのです。これでは、キレイで早いタンギングなどは出来ません。アパチュアは広げずに低音まで吹くことは心がけていたのですが、タンギングにまで気が回っていませんでした。

 そういうわけで、偉そうなことを行っていたわりには自分で出来ていなかったことに反省している次第です。
 出来るだけ長い時間吹いて、正しい発音をちゃんと出来るようにしたいと思います。
 そのために必要な物は、、、次回、用意いたしましたよう。

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