直線上に配置

255.トンデモか!

2010.8.2


 先日、東京に出かけ池袋のヤマハをブラブラしてきました。指揮者コーナーという一角があり、指揮棒や指揮棒ケース、指揮者関係の書籍などが並んでおりました。
 その時は指揮棒を買おうかなぁ、と思っていたのです。伊福部昭モデル、岩城宏之モデルっていうのがありましてね、確か2800円だったと思います。私は練習には850円の棒、本番では1500円の棒を使っているので、2800円というのはかなり高額な棒になります。で、そんな高い指揮棒を買うとなると、普段の持ち運びで折れたりしないように、指揮棒ケースが欲しくなるのですが、値段を見ると指揮棒より高いのです・・・
という話をどこかで書いたよな、と思って見直しましたら#195でしっかり書いておりました。
 まぁ、そういうわけで今回も、指揮棒及び指揮棒ケースを買うことが出来ませんでした。

 その指揮者コーナーを眺めているとある書籍の題名に目が留まりました。その本のタイトルとは、

 『秘密諜報員 ベートーヴェン』

 皆さんは、と学会というのをご存知でしょうか。詳しくは、リンク先をご覧頂くとして、とんでもない本(トンデモ本と云う)を始めいろいろと興味深いものを紹介しておりますので、私は非常に大好きであり単行本を十数冊持っております。
 そこで云うトンデモ本とは、
「著者が意図したものとは異なる視点から読んで楽しめる物」
でありまして、著者は大真面目で書いているのですが、実際は荒唐無稽の内容であったりする本のことです。大体タイトルを見ただけで、怪しい雰囲気を漂わせている物が多いようです。

 はい、それで、『秘密諜報員 ベートーヴェン』です。腰巻には、
「不滅の恋人への手紙」は楽聖の暗号メッセージだった!
とまで書かれています。
 うわぁ、トンデモの臭いがプンプンだぁ。かなりキテいるタイトルだとお思いになりませんか? しばし考えた後、購入いたしました。

 しかし、ちょっと気になるのが新潮新書から発行されているということ。あまり知られていない出版社の新書には結構トンデモ的なものも見受けられますが、新潮新書ですからね。トンデモの可能性は低いと思えるのですが。
 そして著者です。古山和男さんは、国立音楽大学講師であります。本職が真面目に研究して書いているようです。

 東京からの帰りのバスが渋滞して時間がかるということだったので、バスの中で読み始めました。

 さてその内容は、史料の解析から得れたた仮説(従来されてきた「ラブレターの研究」も同様に、史料の解析から得られた仮説には変わりはない)であるというスタンスであり、この時点で明らかに「何が何でも私の説が正しい」というトンデモ本とは違うことになります。
 実際にその説は、納得性の高いものであり、「なるほど」と思えるものでした。ただ、私には検証することが非常に困難ですので、「そういう説もあるんだなぁ。」と思うにとどまるのですけれど。
 歴史的背景などがあり、ベートーヴェンがどのような思想で生きていたのかなど、おもしろく読めますのでお勧めいたします。詳しく知りたい方は、ご自身で購入なさってお読みくださいませ。

 それにしても、何故こんなトンデモ本みたいなタイトルをつけちゃったのでしょうか。まぁ、硬いタイトルだと購買者が限られてしまうということなのでしょうね。だからといてこのタイトルだと、ベートーヴェンを勉強したい人からは敬遠されそうな気がするのですが。私のような、珍し物好きをを狙ったのでしょうか。まぁ、まんまとハマってしまったわけですが。

【参考文献】
ウィキペディア フリー百科事典 と学会
秘密諜報員ベートーヴェン / 古山和男 / 新潮新書 

前を読む 『休むに似たり』TOP 次を読む



Copyright(C)2005-10 T.Miyazawa All Rights Reserved.

直線上に配置