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250.ちょっと変わったCD

2010.6.26


 今回のタイトルは「めずらCD」とでもしようと思いましたが、滑りそうな気がしたので、普通にしてしまいました。なんのひねりも無いのは面白くないと思いつつ。

 最近のCDの買い方は、私の場合、HMV、タワーレコード、Amazonといったネット通販で探して、安価なところから購入というパターンと、店頭で見て衝動買いというパターンがあります。ほしい曲・演奏が決まっているときは検索して通販、何か掘り出し物を探すときは店頭というような感じです。これは、どこかで書きましたね。先日もタワーレコード新宿店へ行きましたが、ネット検索では思いもよらないCDを見つけて、「やっぱ店頭って大事だよねぇ。」と思ったものです。

 そんなわけで、今回は店頭で見つけて衝動買いしたCD、、と思ったのですが、実はそんなことには関係なく、普通のクラシックファンはあまり買わないCDを紹介したいと思います。

◇G.ホルスト / コッツウォルズ交響曲 他 / ダグラス・ボストック指揮 ミュンヘン交響楽団
 
 ホルストといえば組曲『惑星』のみが飛び抜けて有名ですが、吹奏楽の世界では、「吹奏楽のための第一組曲」、「第二組曲」も定番として有名ですね。ホルストが交響曲を作曲していたということはほとんど知られていませんので、その意味でも珍しいCDでしょう。
 しかし私が紹介したいのは、「ハンプシャー組曲」という曲。実はこの曲はゴードンジェイコブが編曲した、「吹奏楽のための第二組曲」の管弦楽版なのです。結構吹奏楽の雰囲気は残っているのですが、有名なユーフォニアムのソロがチェロで演奏されて、やっぱり違うことが分かってしまいます。

◇G.ホルスト / 組曲『惑星』 / オーウェン・アーウェル・ヒューズ指揮 ロイヤルフィルハーモニック管弦楽団
 
 はい、ホルストといえば『惑星』です。このCDについては、すでに#50で紹介してしまっておりました。マシューズが付け足した「冥王星」が収録されております。「冥王星」については、その#50を読んでいただくとして、その他に気づいたことなど。
 この録音は明らかにスタジオ録音のようです。しかも、あまり上手く行っていません。曲によってはセクション(特にホルン)ごとタイミングがずれてしまっているところがあります。一発録音だったのでしょうかね。

◇G.ホルスト / 組曲『惑星』(2台のピアノ版) / レン・ヴォースター、ロバート・チェンバーレン(ピアノ)
 
 またまた、『惑星』です。2台のピアノ版です。さすがにピアノだけですので華やかなオーケストレーションというのはありませんが、雰囲気はよく出ています。ただ、ちょっと違和感があるのが「木星」ですね。スケール感が無いのです。
 もともと、「木星」のオーケストレーションというのは、同じ音程の音を多くの楽器で重ねで厚みを出しているところがあるのですが、ピアノだと、同じ音程の音は一つ、2台のピアノだと二つしかないわけで、そういったことから、オリジナルのオーケストレーションのような音の厚みが出ないのですね。軽い「木星」になってしまっています。


 ちょっと変わったCDといいつつホルストの曲ばかりになってしまいましたが、最後の一枚はムソルグスキーです。

◇M.ムソルグスキー / 組曲『展覧会の絵』(ラヴェル編) 他 / テオドレ・クチャル指揮 ウクライナ国立交響楽団
 
 組曲『展覧会の絵』は多くの人が、いろんな編成に編曲していますので、珍しいCDも多いのですが、今回は『展覧会の絵』ではなく、カップリングされている『禿山の一夜』の方です。
 交響詩『禿山の一夜』というと、リムスキー=コルサコフがオーレストレーションした物が圧倒的に有名になってしまっており、『展覧会の絵』とあわせて、ムソルグスキーの代表作は他人の編曲によって成り立っていることになっています。
 で、このCDには、『禿山の一夜』がリムスキー=コルサコフ編曲版とオリジナル原典版の2つが収録されています。
 私はオリジナル原典版については、学生時代に友人が買ったアバド指揮(多分)のレコードを聴いたのですが、「こりゃ、リムスキー=コルサコフ版とは全然違う、荒々しい粗野な曲ではないか。オーケストレーションは下手といっていいなぁ。しかし、リムスキー=コルサコフも随分勝手に改変したものだ。」と思ったのです。
 今回CDを買って改めて聴いてみると、「あれ、意外とリムスキー=コルサコフ版と違っていない。」という印象なのです。ということは、学生時代に聴いて感じた粗野感はアバド(多分)の演奏による物なのでしょう。
 さて、この原典版ですが、確かにメロディーラインはゴツゴツしていているところが多いですし、和声の進行も素人っぽいところがあります。時代がもう少し後であれば、新しい手法として認められたかもしれませんが、リムスキー=コルサコフとしては「オーケストレーションがなっとらん!」ということで編曲しなおしてしまったのでしょう。確かに均整の取れた綺麗なオーケストレーションになっています。しかし、原典版の方が味はある様に感じます。

 さて、そうなると、このオリジナル版を吹奏楽に編曲してしまおうではないか、という気持ちがもたげてきたのですが、アカデミアミュージックのサイトでスコアの値段を調べたところ、、、17,000円。そこまでお金を出してやる気は無いなぁ、ということで、あっという間に諦めました。

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