直線上に配置

50.冥王星

2006.9.2


 もう、「流石!!」って言うほかはないですね。何がって、ホルストですよ。ホルストの組曲「惑星」。
 以前から冥王星が入っていないことが気になっていたのですが、こういうことだったのですか。

 皆さん、ニュース等でご承知のとおり、去る8月24日、国際天文学連合総会において惑星の定義がなされ冥王星の除外が決定されたわけです。
 ホルストはこれを予見していたのでしょうねぇ。作曲したとおり、惑星の数は地球を除いて7つとなり、組曲「惑星」と合致することになりました。
 まぁ、一時は惑星の数を12に増やす案なんかもあり、こりゃ困ったことになるぞと思いましたが。だって、ケレス、カロンはまだしも2003UB313って名前ですかこれ?あぁ、正式名称は未定なんですか。曲名に未定ってするわけにはいけないですよね。そもそも誰か作曲するんでしょうか?
 惑星も新規参入は難しいと言うことで、国連常任理事国入りの話やプロ野球球団の新規参入の一件を思い出したりしました。あまり関係はありませんが。
 
 ホルストの作曲した海王星は終わりに行くに従って曲の輪郭があいまいになっていき、最後の一小節を消えてなくなるまで繰り返すと言う、もう本当にここから先には何もありませんよ、という終わり方をしています。つまり、ホルストとしては、この曲の後に何かを足すと言うことは考えられないのですね。多分。

 ところが、冥王星を作曲してしまった人がいるのです。2000年に指揮者ケント・ナガノの委嘱によりコリン・マシューズが作曲しています。
 これは、変わった物好きのわたしとしては聴かないわけには行きません。早速、CDを買って参りました。

 オーウェン・アーウェル・ヒューズ指揮ロイヤル フィルハーモニック オーケストラの演奏です。サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団のCDの発売が国際天文学連合総会の決定の前日だったこともあって話題になっているようですが、わたしはあえて買いませんでした。ヒューズ指揮の方が安かったもので。
 ウィキペディアの惑星「組曲」の項によれば、そのほかにもいくつか録音があるようですが、あれほど冥王星降格に反対したアメリカのオーケストラの録音がないと言うのはどういうことでしょうか。いかんぞアメリカ。

 曲の方は、なかなか良く出来ていてそれほど悪い曲ではありません。ところどころ「惑星」で聴いたような和音やフレーズの断片が出てきたりして、雰囲気は出ています。
 しかし、だからと言ってこの「冥王星」のおかげでホルストの「惑星」の価値が上がるわけではなく、ホルストの「惑星」は「海王星」でおしまいでいいと思います。私は。

 そういうわけで、実際の惑星と組曲「惑星」が一致してめでたしめでたしというお話でした。



【参考文献】
ウィキペディア フリー百科事典
http://ja.wikipedia.org/wiki/惑星_(組曲)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ケレス_(小惑星)
http://ja.wikipedia.org/wiki/カロン_(衛星)
http://ja.wikipedia.org/wiki/2003_UB313

前を読む 『休むに似たり』TOP 次を読む



Copyright(C)2005-6 T.Miyazawa All Rights Reserved.

直線上に配置