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224.最後の挨拶

2009.12.27


 ベートーヴェンの交響曲を全部吹奏楽に編曲しようと思い、実際に始めたのが2005年の年が明けたころでありました。私はこういった仕事に対して時間が掛かる者で、全部で9つの交響曲を編曲するのにどれくらいの期間がかかるか想像が付きませんでしたが、とりあえずは一年に2曲、最後の「第九」には1年を掛ければ5年間で完成するものと考えておりました。

 編曲した譜面は演奏するのか? ということに関しては、「出来れば演奏したいが実際に全曲演奏に取り組むようなところは無いだろうなぁ。ましてや、自分と関わりがある楽団では理解を得るのが難しいだろう。」と思っておりました。実際に、選曲に関してはどの楽団でも多くのメンバーが納得できる曲という事で厳しく選考されるようです。
 全曲を演奏しようなどと考えると、年に一度の演奏会で、2曲ずつ取り上げても、これまた5年掛かる勘定です。そんなベートーヴェンばかり取り上げる楽団も無いでしょう。例えば、年に4回定期演奏会を行える楽団であれば、その一回をベートーヴェンチクルスに充てて、9年掛りでやってみるということも可能でしょうが。
 そういった訳で、譜面も出来ていないのに演奏するかどうかなど考えても仕方ないので、自力で演奏することを考えるのは止めにしました。

 第1番を編曲していた環境は効率が悪く時間は掛かったのですが、曲自体が短かったので出来上がっていく達成感というものは得やすかったです。何とか第1番は完成しました。作業の進め方の拙さなどが分かり、その後の編曲で改善していくことになります。
 第1番のあとは、すぐに第2番へいかず、「ウェリントンの勝利」などに取り掛かってしまいます。
 ウェブサイトを開設し、そこで譜面を公開しよう、演奏会形式で音源もアップしようと考えたため、ベートーヴェンの交響曲9曲だけでは足りないと考えたのです。そういうわけで、ベートーヴェン以外の編曲にも取り組むことになります。こちらは、楽に編曲できそうな曲を選択できるので、新たな楽しみとなりました。選択の基準は、せっかく編曲し公開するのだから、出版されていない曲といたしました。(しかし、後の「カルメン」組曲はそのルールからは外れてしまいました。勢いでやってしまいましたね。)
 そのようにして、第一番の編曲が完成した時点で、ウェブサイトの開設を致し、その後、「ウェリントンの勝利」、「ルイ・プラス」序曲の編曲が終わり、第1回目のウェブコンサートを開くことになります。

 序盤、最大の曲は「英雄」でした。演奏に50分も掛かる大曲を編曲するにはどれ程の時間が掛かるのか、と不安でした。しかし、実際に取り掛かってみると、印刷のきれいなベーレンライター版、変換効率のよくなったスコアメーカー4.0のおかげで、思ったよりは短期間で編曲を完了できました。
 この時点で一年半。当初考えていたペースのように思えますが、実は第4番の作業も随分進んでいたのでした。2006年の内に第5番までと、第7番の第1楽章(エクストラクション)を終えています。ということは、2年間で半分以上終えており、2007年中には「第九」まで終えられるのではないかという感触を持っておりました。

 それと同時に考えたのが、この「休むに似たり」。毎週(ネタに困りながらも)書いておりますので年間で52本を書くことになります。2006年の暮れには、#67を書いておりましたので、「第九」終えるころには120位書くことになるのだなと思い、「第九」も終われば、「休むに似たり」も終わりになるのだ、と考えていました。120本、駄文を書く事だって結構立派なことではないか、とも少し思いました。

 しかし、「田園」、第7番で若干予定より遅れたため、2007年は第8番の完成までで終わりとなります。転勤・引越しもあって環境が変化し、編曲に当てられる時間が減ったこともあります。

 残りは「第九」のみとなってから、全く進まなくなります。第8番までが済み「あと少し」と安心してしまったのか、完了させてしまうのが惜しくなったのか、分厚いスコアに怖気づいてしまったのか。それらについては、折に触れ言い訳を書かせて頂いております。解決しなければならない問題も幾つかあった訳です。

 さて「裏ベー全編」を見返しながら、軌跡を追いかけてみましょう。
2008年2月27日 スキャン取り込みをしています。
2008年4月20日 MIDIデータ化は完了した模様。ただ、原曲スコア化にはすぐ取り掛かっていません。
2008年12月27日(ちょうど一年前だ) 8ヶ月も停めて、ようやく原曲スコア化を始めました。しかも第4楽章から。メールを頂いた方の熱い思いに動かされたのでした。「是非演奏したい。4月にはパート譜まで欲しい。」と。で、その演奏はどうなったのかなぁ。
2009年1月1日 第4楽章の原曲スコア化を完了。休みを利用して、実質5日間で終えています。やりだせば早いのに。
2009年1月12日 全楽章の原曲スコア化を完了。
2009年1月24日 第4楽章の編曲完了。パート譜が必要なのは4月ということで、一旦休止し、2月8日から「カルメン」組曲の編曲を始めてしまいます。この「カルメン」、3月10日には練習を始めています。約一ヶ月でパート部まで印刷出来ているとは、、、。
2009年4月5日 第4楽章のパート譜作成。12日に完成。その後、独唱アルトのための曲の編曲を行い。また「第九」は停滞してしまいます。
 第4楽章を終えてしまったということは、登山で例えれば九合目から上を登らずに頂上に立ってしまったようなものです。胸突き八丁といわれる苦しいところを、ロープウェーでショートカットしてしまったのです。一応は達成感を得てしまったので、再び腰を上げるのが億劫になってしまいました。しかし、そうも言っていられず。
2009年11月11日 今回は7ヶ月の停滞。ようやく重い腰が上がり、第1楽章から編曲を始めます。年内に何とか完成したいという気持ちがあったのです。23日に第1楽章を完了。やはり時間が掛かっています。この楽章は本当にしんどかった。
2009年11月28日 全楽章の完成をもって、一旦「ベートーヴェンの交響曲を全部吹奏楽に編曲しました」と相成りました。そして、12月20日には音源の公開もしております。

 ほぼ2年間掛かって、ようやく「第九」の編曲は完成いたしました。実質、掛かった期間は4ヶ月程度ですね。一気にやれば2008年の夏には完成できていたことになります。まぁ、ライフワークということでチビチビやりたかったのかもしれません。
 結局、第1番から始めて5年間。当初の目論見と同じ期間となりました。

 さて、そうしますとこのサイトを立ち上げた当初の目的は達したことになります。「休むに似たり」も120本と思っていたのが、224まで来てしまいました。一区切りつけるには、ちょうどいいですかねぇ。

 ということで、今年「最後の挨拶」とさせていただきたいと思います。

 来年もまた、よろしくお願いいたします。まだまだ、編曲したい曲もありますしね。

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