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67.真冬の夜の夢

2006.12.30


 皆さんは、悪夢を見て目覚めたときに「夢で良かった、、、」としみじみ思うことってあるでしょうか?
 今まで私はどんな悪夢を見たときでも「夢だったのか」とは思っても「夢で良かった」と思ったことはありませんでした。しかし、ついに経験してしまいました。こういう心理状態になるのですねぇ。
(まぁ、逆に「夢だったのか、残念。」ということはよくあって、大体そういう夢の場合は人様にお伝えできない内容なのでして、へへへ。)

 こんな夢でした。
 何かを終えて、夜10時頃になってから同僚たち5,6人と飯を食いに行こうということになりました。で、近くの食堂へ行くのですが、これが安っぽい大衆食堂なのでして、メニューもラーメン、そば、うどん、カレー、丼物といったようなものです。皆は、各々に注文したのですが、私だけは迷っていてなかなか注文できません。カツカレーはカロリーが高いとか、そばは味の単調でつまらないとか、思ってなかなか決められないのです。ようやく、カツ丼に決めたのですが、売り切れだと言われてしまいます。隣の人が食べているのに。(それが最後のひとつか)と思いながら、そばを注文します。
 待ちながら、何かをしゃべっていたのですが、突然隣の人(よく行く飲み屋のマスター)に「酔っ払って怒ることはよくないことだ。」と叱られてしまいます。時計を見ると1時になっています。店に入って3時間が過ぎている? どうやらその間に私は何かしでかしてしまったのですが、まったく記憶が無いのです。
 他の人たちは食べ終わって、帰ってしまいます。私のそばはまだ来ておらず、店に残ることになりました。早く帰らなきゃと思いつつ。
 ようやくそばがやってきて食べ始めたのですが、このときこう思ったのです。
「料理というのは出された瞬間が一番美味く、あとは不味くなっていく一方だな。ふむふむ、これをネタにして一本書こう。」 

 もうちょっと詳しく言うと、調理を終え食べられる状態になった料理は、その瞬間が一番美味しいということです。時間がたてば、熱い物は冷め、冷たいものは温まり、麺類は伸び、料理本来の味は徐々に失われていきます。食べ始めと食べ終わりとでは、やはり食べ始めの方が美味しいでしょう。「召し上がれ。」といって出されてから、1時間たった方が美味しいという料理はありませんよね。
 カレーなどは一晩おいた方が美味いなとど言いますが、やはり食べる直前には加熱をしますから、調理を再開することになってしまいますね。
 果物の場合は、熟していくと美味しくなっていきますが、さらに時間がたつと腐ってしまいます。ということは、熟して一番美味しいときを料理として出されたとすれば、やはり後は不味くなっていく一方です。
 チーズなども、発酵して美味しくなっていくものはありますが、単品で料理といえるか疑問です。時間も掛かりすぎますし。

 まぁ、私は料理に詳しくないので、もしかして時間がたった方が美味しくなる料理というのはあるかもの知れません。あったら、ぜひ知りたいところです。

 さて、夢の続きです。
 不味くなってしまったそばを食べ終えると、私は店の人に告げられます。
「あなたは、今日、この店に20万円の借金をした。そして、今日の勘定は8万円だ。」
 確かに、かばんには12万円があります。しかし、こんな大衆食堂で飯を食って8万円? ものすごいショックを受けました。
 でもなんでそんな借金なんて? さっきの記憶のない間に何かしてしまったのか?
 時計を見ると3時を過ぎています。店の人に何とかしてくれと頼みますが、オーナー(おばさん)でないと分からないといいます。
訳も分からず、オーナーを待つことにしました。待つ間には「8万円は取られても仕方ないか」などと、半分諦めたりもしていました。
 時計が4時になるころに、オーナーがやってきました。そこで、必死になって8万円を何とかしてくれと頼みます。しかし、オーナーは笑っているだけで取り合ってくれません。
 困った、困った、、、、、、、

 遠くで音がします。「ピピピッピピピ、、ピピピッピピピ、、」

 目覚まし時計が鳴ったのです。眼が開きます。そして思ったのです。
「あぁ、夢で良かった。いや本当に助かった。」

 まぁ、その、大した話ではなかったのですが、妙にリアルで。

 「人の夢の話なんか聞いたって面白くない。」ということをどこかで読んだことがあります。まぁ、その面白くもないもので書いてしまいました。
 夢の中で「これで一本書ける。」なんて思っちゃいましたからねぇ。気分だけは締め切りに追われている作家のようでありました。

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