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178.パート譜の話

2009.2.14


 私のベートーヴェン交響曲吹奏楽編曲はスコアが出来上がった段階で、一旦は完成としております。ですので今まで第8番まで完成しておりますが、パート譜につきましては、ご要望があったもの以外は作成してありません。
 パート譜の作成はどのように行うかというと、Finaleのパート譜作成コマンドを「えいやっ」と実行すると出来てくる、、、はずなのですが、そのままでは実用に耐える状態でないことが多いのです。

 まず、レイアウトやサイズのを適正な大きさにしなければなりません。私は、手元にあった吹奏楽譜面を参考にしてそれらのサイズを決めておりました。ページサイズはA4として、1ページに五線が10段~12段、1段には7~8小節、などと決めてレイアウトしておりました。が、ここで悪い癖が出まして、1ページの中に出来るだけ多くの小節を入れたいなぁ、という気持ちが働いてしまったりします。とすると、音符、五線のサイズがちょっとずつ小さくなってしまうのですね。今まで、譜面をお送りしました皆さん、ごめんなさい。音符が小さくて読みにくいと思います。
 それから、文字や記号の大きさも適切なものにしなければなりません。そういった修正をしながら、パート譜の作成を進めていくわけです。

 まだまだ、考えるべきことはあります。
 昨年やりました『展覧会の絵』でメンバーの皆さんにご苦労をお掛けしてしまったのは、譜めくりの問題です。2ページ見開きで納まってしまう曲だと問題は無いのですが、3ページ以上になる曲の場合は、演奏中に譜面をめくらなければなりません。『展覧会の絵』の場合は、パート譜はどのパートも10ページ程度になっていますから、当然譜めくりは発生します。「譜面をめくれない!」というクレームをたくさん頂戴いたしました。
 譜めくりへの対応はどのようにするのかというと、ページの最後の小節を全休符にするということです。しかし、早い曲だと全休符が1小節だけでは、譜めくりが間に合いませんから、数小節の全休符が必要です。ですから、ページの最後の小節に全休符が来るようにレイアウトしなければならないのです。
 私には、この知識が全くありませんでした。市販の譜面は大抵こうなっていますから、過去に自分が演奏したときに不都合として認識されていなかったのです。よって知識となっておりませんでした。今まで作成したベートーヴェン交響曲のパート譜もこのように考えてありませんので、譜めくりはよくありません。またまた、今まで、譜面をお送りしました皆さん、ごめんなさいです。

 そういったわけで、読みにくいパート譜は、演奏者に対してストレスを与え、難しい曲をより困難にしてしまうのです。これから作成するパート譜は、ちゃんと注意して読みやすく作成しますから。(すでに作成してしまった分は、しばらくの間ごめんなさいです。)

 さて、この次にパート譜を作成するという曲は何かといいますと、ベートーヴェン交響曲第9番『合唱つき』第4楽章であります。#171で書きましたように強いご要望がありまして、目下準備中なのであります。(その割には、別の曲の編曲に手を付けておりますが)
 とにかく『第九』第4楽章のパート譜を作らなければならないのです。

 これには、ハタと困ってしまったことがありました。

 「声楽パートのパート譜はどのように作るのでしょうか?」

 通常の楽器パートは、いつも作っていますので勝手は分かっていますが、声楽パートって、たとえばアルトならアルトのパートだけ書き出してもダメですよね。というのは、『第九』第4楽章は、曲が始まってから声楽が出るまでに、6分程度掛かります。この間、二百小節以上の休符を数えなければならないわけです。そのほかにも、曲の途中に休みの小節は多くあります。ステージの上で声楽の皆さんが休符を数えているという姿は見たことがありませんので、きっと違うのでしょう。
 学生時代のに歌った合唱の譜面を思い出してみると、ピアノパートがあり、合唱のパートがあり、というように所謂スコアの形式だったように思います。
 では、『第九』はどうなのか? オーケストラのスコアを持って歌うなんてことは、、、、ありませんよね。もしかしてオケパートはピアノ譜になっているとか? とすると、ピアノ編曲譜も作らなければならないのでしょうか。それは、ちょっと、私にとって不可能ではないかと。

 上手い具合に、私の女房が以前『第九』のコーラスに参加したことがあるというので、そのときの譜面はどうだったか訊いてみました。幸いなことに、まだ持っているというので見ることが出来ました。
 さて、その結果は中身は、ピアノ譜と声楽パートという東京音楽社の市販譜でした。
 ということで、声楽パート譜については、私が作るより市販譜を使っていただくということにいたしましょう。
 まずは、一安心。

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