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179.スコアのお話

2009.2.21


 前回はパート譜の話でしたから、というわけではなくスコアのお話です。しかも、私が作成しているスコアではなく市販のスコアについて。

 市販スコアといいますと、まずミニチュアスコア、ポケットスコア、スタディスコアなどと呼ばれる物があげられます。サイズが小さくなっていますので実際の演奏では使用しません。勉強(私は滅多にしませんが)や編曲のために使用いたします。ある程度の楽器店へ行けば大抵置いてあり、値段も手ごろであります。
 次に実際の演奏に使用するスコアがありますが、こちらは私にとって用が無いので入手使用と思ったこともありませんし、持っていません。
 ということで、ミニチュアスコア(以下、スコア)のお話に入っていきます。

 私が最初に入手したスコアは、ベートーヴェン交響曲第9番「合唱つき」とチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」の2冊でした。中学3年生になる直前の春休みに長野市へ行き、叔父さんに進級祝いに買っていただきました。当時はどこに売っているか知らなかったので書店に行ったのですが、たまたま置いてあって買ってもらうことができました。普通、置いてある書店は少ないですね。この2冊は全音楽譜出版社のものでした。

 日本国内でスコアを出版しているのは、全音楽譜出版社(全音)、音楽之友社(音友)、日本楽譜出版社(日譜)の三社であります。

 全音のスコアは、ずっと以前(十年以上前ですかね)はパラフィン紙がカバー(しかも糊付け)してあり、高級感がありました。曲の解説も充実していて三社の中では一番いいと思っており、同じ曲のスコアがあったら優先して買っておりました。

 音楽之友社は出版社としては大きいのですが、スコアは全音に比べ解説があっさりしていたので、ちょっと敬遠気味でした。フィルハーモニア版というちょっと高いシリーズもあり、曲目数はこちらの方が多かったように思います。
 6年ほど前からリニューアル版ということで新校訂(と思われる)版で印刷がきれい、解説が充実しているシリーズ、更に最近はEulenbulg版も日本語解説付きで扱うようになっておりラインナップが充実してきました。最近は「全音よりいいなぁ」と思うようになっています。

 そして、独特の味を出しているのが日譜であります。書体が古かったり、解説の言い回しも昔っぽく、レトロな香りがプンプンしています。新しい物好きの私としては、最も敬遠してしまっていた出版社で、日譜でなければ扱っていないというスコアしか買いませんでした。つい先日購入した、現在編曲中の「某組曲」のスコアも日譜にしかありませんでしたので購入した次第です。

 では、楽譜そのものについては、全音と音友(リニューアル版を除く)は海外の出版社からライセンスを受けて出版しているように思えます(確実なところは調べてないので、、、)。ライセンス元がどこなのか分かる場合と分からない場合がありますね。
 印刷の版が古いものが多いので、私のようにスキャンして利用するにはつらいものが結構あります。
 音友のリニューアル版は校訂が新しく印刷はきれいで、スキャンにはいいのですが、大胆な間違いがあったりするので注意が必要です。この間違いというのも、連絡すれば次の版で直ったりするのでしょうかね。以前、スコアの間違いを指摘したことがあるという方から聞いたのですが、結局は海外の出版社の版なので直らないということでした。リニューアル版が自社で校訂していたとしたら、直るのかなぁ、と思ったりもしますけれど。

 さてそれで日譜です。日譜の場合は、
 当社スコアは、原譜をより正確に校正し、一流の浄書家の手によって新しく版を起こしたオリジナルな楽譜です。 (スコア巻末の目録ページより引用)
 だそうです。確かに「譜面ヅラが他の二社と違って独特だなぁ」という感じは、ここから来ているのでしょう。日譜のウェブサイトを見てみると、浄書されている方が紹介されています。
 こんな大変な仕事をされているなんて、、、。これからは敬遠などしないで、日譜を優先的に買おうかな、なんて思ったりします。


【参考文献】
ウィキペディアフリー百科事典 全音楽譜出版社

全音楽譜出版社 http://www.zen-on.co.jp/top/CSfTop.jsp
音楽之友社 http://www.ongakunotomo.co.jp/
日本楽譜出版社 http://nihongakufu.com/

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