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151.練習しましょう

2008.8.9


 #96にて練習の話を書いております。これは、個人としての譜面をさらう練習についてでしたが、今回は指導者としてバンドをトレーニングする方のお話です。

 その前に言葉のおさらいをしておきましょうか。文末にウィキペディアの『指揮者』のリンクをつけました。読んでいただければ、お分かりかと思いますが、指揮者というのはステージで棒を振るほかに膨大な仕事があり、能力を要求されています。ともあれ、『指揮者』というのは音楽作りを主に行う人であると言えるでしょう。
 これはプロのオーケストラなど一定のレベル以上の楽団に言えることで、私たちが活動しているアマチュア吹奏楽団などの場合には、メンバーのトレーニング指導、バンドの基礎練習というものが加わります。言ってみれば音楽作りをする以前の準備を行うことであります。この仕事に対し、指揮者とは別に『トレーナー』という名称でポジションを設定している楽団も多くあります。『トレーナー』には、専門ごとに分かれて『弦楽器トレーナー』『木管楽器トレーナー』『金管楽器トレーナー』『打楽器トレーナー』にそれぞれ担当がいる場合もあります。こうなるとかなり贅沢な楽団だなぁ、と思ってしまいます。
 というわけで、『指揮者』と一言でいっても『トレーナー』の仕事を含む場合と、含まない場合があるということを、頭の隅に置いておいてください。

 私の場合、駒ヶ根市民吹奏楽団で指揮者という立場にあるわけですが、実際は何をしているかというと、ほとんどの場合、基礎練習、指さらいのお手伝い(テンポを落としての練習)、音程の確認、リズムの確認、譜面のとおり演奏できているかの確認、、、というように、音楽作りの前の仕事が多く、『指揮者』というより『トレーナー』に近い状況ですね。それでも、音楽作りまでちゃんとやりたいので、気持ちは『指揮者』なのですが。どうも、一通り譜面に沿った演奏が出来るようになって、「これから音楽作りだ」という時期には、演奏会本番は終わっているというのが、実際のところでしょう。トレーニングしながら音楽作りという手もあるのですが、なかなか上手く行かないものです。
 ここのところ練習内容がマンネリっぽくなってきて、上達の度合いも少なく感じるようになってまいりました。こういう状態が続きますと、「私の練習方法は間違っていないのかなぁ」と不安になってまいります。

 最近、他団体の練習を2つ見学させていただく事が出来ました。まぁ、以前の私でしたら他団体の練習を見ると「大した事をしていない。」などと馬鹿にしておりましたが、最近は自分の方が大した事がないと分ってきましたので、何とか自分の実になるように見学する気持ちが出てまいりました。

 二つのうち一つは、伊那フィルハーモニー交響楽団。指揮は、征矢健之介さん(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、1stヴァイオリン奏者)で、秋のコンサートに向けた練習でした。内容は譜読みの段階でもありましたが、楽団員の皆さんは指揮者として接していますので、音楽作りの部分も多くみられました。譜読みの段階と言っても、指さらい程度はほとんど終わっている状態で、合奏のポイントなどに移っています。
 テンポの速い曲では、メトロノームを駆使してテンポを維持しておられました。「本番は妥協するかもしれないけれど、今日は妥協しないから。」と仰ったのには、「なるほど」と思いつつ、苦笑してしまいました。

 もう一つは、赤穂中学校吹奏楽部。コンクール前の一日掛けたステージ練習でした。私の母校でもあります。
 中学生らしく一生懸命さが前に出てきておりました。先生の指導も、ユーモアを交えながらも厳しさを教えるというもので、音楽作りもよく考えておられるようでした。
 やはり、中学生ということで体力的・体格的に不足しているところは否めず、常に力一杯の硬い音になってしまうのは仕方ないでしょうか。大人になるまで続けて、楽器の色々な表現を楽しめるようになって欲しいなと思いました。

 どちらの練習を見ても、感じたことはメンバーの前向きな姿勢です。意欲と集中力。それと指揮者の執念。

 振り返って我が楽団はどうかというと。。。人の所為にして愚痴ってしまうのは簡単ですが、やはり責任は『指揮者』を名乗る私にあるでしょう。メンバーの皆さんが前向きな姿勢になって、集中力を持つような練習を作っていかなければなりません。それが難しいのですけれど、少なくとも疲れたような顔で練習をしてはいけませんね。
 執念は以前はあったのですが、空回りを感じるようになってから押さえ気味でした。空回りしないように、執念を持っていきましょうか。

 ということで、次回からの練習に向かっていこうと思っています。
 しかし、この暑さをたまりませんね。


 【参考文献】
ウィキペディア フリー百科事典
 『指揮者』

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