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147.曲目解説

2008.7.13


 コンサートのプログラム(#145で書きました演奏曲目と順序ではなく、パンフレットの方)には、色々と書くことがあります。これはその団体のやり方により様々ですが、

・ 主催者(団長)挨拶
・ 指揮者紹介
・ 演奏曲目
・ 曲目解説
・ 演奏者リスト

なんていうところが、主なものだと思います。まぁ、あと場合によっては演奏曲にまつわるエッセイなどを書いたり、団員からのアンケートなど企画を面白そうに書くこともあるでしょう。
 プロのオーケストラの場合は、毎回の形はほとんど決まっていますし、作成する方もその道の方が決まっているでしょう。アマチュアの場合などは、係として決められて作成することが多いのではないでしょうか。
 私も何回かやったことがありますが、ページ数、記事の内容、レイアウト、各記事の文字数を決めて、原稿を依頼してしまうという、という流れです。私自身も記事を書くことがあって、一番書くことが多かったのが、曲目解説でしょうね。始めのうちは他団体のプログラムを見て「こんな風に書くものなのか」と思い、見よう見まねで書いておりました。
 そのうちに、オリジナリティーが欲しいなぁ、などと考えるようになったのですが、これはどうしたらよいか悩んだものです。

 そもそも、曲目解説にはどんなことを書くでしょうか。
・ 曲の成り立ち、作曲された時代
・ 曲の形式、聴き所
・ 作曲者の意図
・ 曲にまつわるエピソード
・ 作曲者について
という辺りが定番でしょう。これらの内容というのは、百科事典や研究書に書かれていることを基にして、もっと簡単にしようとすればCDの曲目解説、それこそ他団体のプログラムを参考にして書くことになります。
 つまり、すでに周知の事実となっていることを書き直すことになるのですね。
 しかし、これは仕方ありません。海外の作曲家、すでに亡くなっている作曲家についてなどは、よほどの研究家でなければ誰も知らない新事実を得ることは無いですし、国内の作曲家についても近い位置にいないと誰も知らない新事実と言うものはつかめません。そういったわけで、周知の事実からの書き直しがほとんどになるので、オリジナリティーというものは出せないことになります。

 そういう現実の中でオリジナリティーを出そうとすると、2つのことが考えられます。
 一つ目は、自分の感想。これは自分にしかないものですから、オリジナリティーそのものです。問題は、他の人にとって有益であることが少ないと言うことでしょうか。「あなたはそう感じたのですね。」で済まされてしまう事がほとんどでしょう。プロの解説者(評論家?)の苦労もこういうところにあるのでしょうかね。
 二つ目は、自分の研究の成果。私は研究というほどのことはしていませんが、それでも譜面を眺めているうちに気付く事があります。「もしかしたら作曲者の意図はこういうところにあったのではないか?」とか。こちらにも問題点があって、すでに他にも気付いてる人がいる可能性があるということと、そのこと自体が全く正しくない可能性があることです。正しいということを検証できないのですから、仕方ありません。言うとすれば感想と同レベルになってしまいます。

 そうなるとあとは、周知の事実を基にオリジナリティーのある文章で書く、位しかないのでしょうかね。


 それにしても、最近はインターネットのお陰で資料の収集がしやすくなりました。以前は、図書館でクラシック曲解説辞典をみたり、自分で本を買ったりして調べました。本の入手が出来ないものは、CDの解説文が頼りという情けない状態。クラシック曲の場合はともかく、吹奏楽曲の場合は譜面先行で作曲者や曲に関する情報がほとんど無い場合がかなりありましたね。CDの解説でも「詳しい情報はほとんど無い。」などと書かれてしまうとお手上げでした。(それこそ自分の感想を書くしかない。)

 先日聴いた、プロのコンサートのプログラムにも、「〈参考文献〉ウィキペディア」と書いてありました。プロの方も特別な情報ソースを持ってらっしゃるわけではないのですね。

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