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148.夏の曲

2008.7.19


 唐突ですが、「夏にちなんだ曲で一番好きな曲を挙げろ」と問われれば、私はためらいなく答える曲があります。
 それは、アルテュール・オネゲルの交響詩「夏の牧歌」です。どこでこの曲を知ったかというと、多分中学3年の夏頃に深夜のNHK-FMで放送されたのを録音したのでありました。その頃の私は、レコードなどを簡単に買えるほどお小遣いを貰っていなかったので、もっぱらFMラジオのエアチェックをしてライブラリーを増やしておりました。といってもカセットテープを買うお金も限られていますので、「交響曲」という文字に絞って録音をしておりました。私の交響曲好きは、この辺からあったわけです。

 そのときのプログラムは、30分番組で交響曲の何番かと、この「夏の牧歌」が放送されたのでした。オネゲルは交響曲を5曲作曲しており、どの曲も3つの楽章で出来ています。長い曲で30分程度なので、30分番組の中でプログラムを組むとしたら、短めの曲になるのでしょうが、ちょっとこの辺の記憶が定かでありません。テープも残っていませんし。
 交響曲の方は中学生の私には難しかったのでしょう。結果的に、「夏の牧歌」だけが記憶に残ることになったのです。

 何故、オネゲルの名を知っていたかというと、それは以前に書いたトミタさんのお陰なのでありました。

 この「夏の牧歌」という曲は、ゆっくり静かに始まり、ホルンがそれこそ牧歌的なメロディーを演奏します。広々とした牧草地帯の丘を涼しげな風が吹いていくという感じの曲です。中間部は明るくはつらつとした感じ、最後には冒頭の静かな感じに戻るという、三部形式の曲です。一管編成ということもあり、派手にならずしみじみと聴ける曲です。

 その後、レコードでバーンスタイン&ニューヨーク・フィルの演奏のものを買ったのですが、味気ない演奏で、テープに録音した演奏の方が好きでした。誰の指揮だったかは記憶に無いのが残念です。セルジュ・ボドだったかなぁ?

 学生指揮をしていたときに、メンバーに聴かせ、「この曲の題名に、ある季節が入っています。何でしょう。」と尋ねたのですが、「夏」と答えた人はほんの僅かでした。何も知らずに聴けば、のどかな「春」って感じでしょうか。

 CDの時代になってからは、本郷三丁目駅そばのCD屋さん(小さい店だったけど、クラシックは結構マニアックなCDがあったなぁ)で、ミッシェル・プラッソン指揮トゥールーズ市立管弦楽団のCDを見つけ即買しました。当時、知らなかった指揮者、オーケストラでしたが、演奏は良かったです。

 という思い出とともに、夏になるとこのCDを引っ張り出してきて、「夏の牧歌」を聴くのでありました。

さて、
 このネタは、「秋」「冬」「春」とあと3回は使えるなぁ、と密かに考えてしまったところです。

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