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149.日本の曲

2008.7.26


 ベートーヴェンとかモーツァルトとか外国の作曲家の曲を日本のオーケストラが演奏する機会は数多くあります。というより、日本のオーケストラであっても日本人作曲家の曲を演奏する機会は、多くは無いというのが正しいところでしょう。私は邦人作品が好きですので、何回かコンサートにも行きましたが、やはり海外の有名な作曲家のコンサートの方がはるかに多いのです。
 そういったわけで、日本のオーケストラが海外の作品を演奏することは誰も疑問に思うところではないのですが、逆に海外のオーケストラが日本の邦人作品を演奏することはどれほどあるのでしょうか、ちょっと疑問に思ってしまいました。まぁ、ツァーで日本に来たときに取り上げることは時々あるでしょうが、全く関係のないコンサートではどうでしょう。

 外山雄三の「ラプソディー」などはN響のヨーロッパツァーのときにアンコールピースとして用意され、実際の演奏では好評を博したようですし、武満徹の曲も海外でも高く評価されています。最近では、吉松隆も人気がありますね。
 ただ、どうもそれ以上、すぐに思いつく曲はないのです。調べればいくつも出てくるんでしょうが。それほど一般的に知られていることではないということです。

 何故そんなことを思ったかというと、先日購入しましたCD、伊福部昭の「タプカーラ交響曲」の演奏が、ドミトリ・ヤブロンスキー指揮ロシア・フィルハーモニー管弦楽団だったからです(Naxos 8.557587J)。曲は、そのほかにも「リトミカ・オスティナート」と「SF交響ファンタジー第1番」とが収録されています。
 その演奏を聴いて、「ちょっと違うよなぁ。」と思ってしまったのです。特に「SF交響ファンタジー第1番」は日本人にとって耳に染み付いてしまっている「ゴジラ」の音楽から始まりますが、あの重くゆっくり始まるところが、実に軽く感じてしまうのです。タプカーラにしても終盤の熱狂的な部分があっさりしていたりして、私としては不満が残りました。
 で、「海外のオーケストラには日本の曲は無理なのかな。だいたい、演奏する機会がどのくらいあるのだろう。」と思ったということです。

 「海外のオーケストラには日本の曲は無理」というのは偏見でしょうか。例えば、ドイツ人が「ベートーヴェンの曲は日本人には無理」と言ったとしたら、現代ではかなり偏屈な人と思われるでしょうね。そのくらい、日本人にとってもベートーヴェンなどはよく知れた存在なのです。では、伊福部昭がロシア人にとってよく知れた存在かというと、「そんなことはないよなぁ。」と思ってしまいます。確証はないですが。
 最近は、テレビなどで世界各地で日本ブームなどという番組をよく見ます。しかし、オーケストラ曲について言えば、ブームなんてものはないのでしようねぇ。

 ロシアの作曲家の曲、チャイコフスキーやハチャトリアンなどはベートーヴェン、モーツァルトに比べても、日本人にとっては心に通じるもの(ある意味演歌的な)があるのではないかと思います。ですから、逆に日本の曲をロシアのオーケストラが演奏するのは期待できるのかなと思っていたのですが。
 たった1枚のCDを聴いただけで決め付けてしまうのは早計ですので、これからも機会があったら興味を持って聴いてみたいと思っています。

 それにしても、このNaxosの「日本作曲家選輯」は素晴らしい企画です。日本のメーカーが出来ないことをやっています。今まで一枚ずつ買っていましてが、残りをまとめて大人買いしてしましょうか。

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