度々書いておりますが、東京から長野の田舎に引っ越してきまして通勤手段が変わってから、読書量と言うものがめっきり減ってしまいました。ざっと考えて1/5程度でしょうか。月に1冊読むか読まないかですね。読書のためのまとまった時間が取りにくいので、意欲が薄れてしまっているのです。 そんな中でも、最近いくつかは読んでいるので、音楽関係の本を紹介してみたいと思います。 ベートーヴェンの交響曲 / 金聖響 + 玉木正之 / 講談社現代新書 今をときめく金聖響さんと玉木正之さんとの対談という形で、ベートーヴェンの9曲の交響曲について解説を進めていきます。私もそれぞれの曲について編曲前には資料を当たったりして知識を得ていますが、編曲中に疑問に思ったことの答えが書いてあったり、ためになった一冊です。指揮者としての考え方も読み取れますし、なかなか良い本であると言えましょう。難解な書き方をしていないので読みやすいです。 カラヤンとフルトヴェングラー / 中川右介 / 幻冬社新書 正直に申し上げて、私はフルトヴェングラー、トスカニーニ、ワルター、といった超巨匠の演奏は好きではないのです。理由は録音の音質が悪いと言うことで、ほとんどが聴かず嫌いなのです。それでも、時々何かの拍子で聴くことがあったりするわけですが、極端なデフォルメなど好きになれない部分が多いのも確かです。そう思うとカラヤンの演奏(主にレコード)は奇をてらっていない基本に忠実な演奏が多く、まず間違いはないという感じはします。私もクラシックを聴き始めた頃はカラヤンのレコードは割りと聴いた方ですが、色々と知恵が付いてくると面白みを感じなくなったのも確かです。 そういうわけで、カラヤンもフルトヴェングラーもそれほど好きではないのです。通常ならば手にすることのない本ですが、何故買ってしまったかというと、 ベルリン・フィル四代目をめぐる抗争の三角形 と書かれた、腰巻の一文。やくざ映画のキャッチコピーのようではありませんか。 読んでみると、第二次大戦前後のヨーロッパの音楽事情、カラヤン、フルトヴェングラー、他の音楽家たちの苦悩と思惑などが読み取れました。フルトヴェングラーのバイロイトの第九を聴いてみようかという気にもなりました。 音律と音階の科学 / 小方厚 / 講談社ブルーバックス 著者は音楽家ではなく物理学者です。暇さえあれば学生バンドでジャズをヴィブラフォンで演奏しているようですが。音楽屋さんが書いた音楽の本と言うのはいくら初心者向けとはいえ、音楽的常識を一般常識と同じように書いてしまっているので、あるところで突然分らなくなってしまうことが多いのですが、この本は違います。 科学屋さんの考え方で書いてあるので、少なくとも理系の人間には理論的に分りやすく書かれています。 内容的には、私も以前少し触れました、音律の成立から、心地よいと感じる響きの話、民俗音楽の話、過去に考えられた(実験的な)音律の話、など科学的に語られています。 そういえば中学校の音楽の先生が「一オクターブの中に53個鍵盤があるオルガンがあるんだぜ。」と言っていたのが、この本に書かれていて、そういう意味だったのかと、いまさら気付いたりしたわけです。 毛色の違った3冊でしたが、それぞれ楽しむことが出来ました。音楽って、幅広く奥深いものですねぇ。 |