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88.トミタさん

2007.5.26


 私がクラシック音楽を聴き始めたあたりの話をずいぶん以前に書きましたが、何かちょっと忘れているような気がしていたのです。私が好んで聴く曲の傾向に影響を与えてくれた人物がいたことを思い出しました。タイトルにもありますとおり冨田勲さんです。
 最近では「冨田勲」と聞いてピンと来る人が少ないんじゃないかと言う気もしますが、当時はクラシック曲をシンセサイザーで演奏しレコードリリースしてしまうと言う有名な人で、大変人気がありました。詳しくはウィキペディアで。

 最初にその名前を見つけたのがレコード屋さん。1977年、私が中学二年の年です。「TOMITA・惑星」とかポップが飾ってあって、最初は何のことか分かりませんでしたが、吹奏楽仲間から「トミタの惑星は凄い」と話題になり、そのうちNHK‐FMで「惑星」特集があってカセットテープに録音したわけです。何べんも繰り返し聴きましたね。

 このころは曲がどうこうと言うより、シンセサイザーと言う最先端の電子楽器で演奏した音を聴く欲求が強かったのでした。と同時に、クラシックを聴き始めたばかりの私にとっては冨田さんのレコードはカッコイイ曲ばかりだったのです。

 その次に聴いたのが、「宇宙幻想」('78年)。これば自分でお金を出して買いました。どんな曲が入っていたかというと、
1. スペース・ファンタジー(R.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」冒頭、,R.ワーグナー「ワルキューレの騎行」「タンホイザー序曲」のメドレー)
2. A.オネゲル / パシフィック231
3. C.アイヴズ / 答えのない質問
4. ジョン・ウィリアムズ / スター・ウォーズのテーマ
5. J.ロドリーゴ / アランフェス協奏曲第2楽章
6. E.グリーグ / ソルヴェーグの歌
7. G.ディニーク/J.ハイフェッツ / ホラ・スタッカート
8. ソラリスの海(J.S.バッハ / 3声のインヴェンション第2番、「我汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」のメドレー)

 などと言う曲ですね。一般的なクラシックファンではあまり聴かない、どちらかと言うと珍しい曲が入っていると思います。こういう辺りが私の好みに影響していると思います。

 そして同じく'78年に次のアルバムがリリースされます。「バミューダ・トライアングル」です。このアルバムは、プロコフィエフやシベリウスの曲、またジョン・ウィリアムズ「未知との遭遇」のテーマ、を冨田さんがバミューダ・トライアングルからインスパイヤされた形でメドレーにされています。冨田さんのメドレーと言うのはかなり自由な形で作られていますので、原曲からかけ離れていて、ちょっと馴染めないところはあります。「惑星」の「土星」以降もメドレーになっていて、いかがなものかと思ってしまいます。

 '79年にリリースされた「ダフニスとクロエ」は原曲からかけ離れることがなく、かなりいい演奏でありました。まぁ、「ボレロ」は期待はずれでしたが。

 その後は、私もいろいろな曲を聴くようになり、冨田さんから離れていくわけですが、「ドーン・コーラス」というアルバムではヴィラ=ロボスを知ることになり、またしても冨田さんの守備範囲の広さに驚くことになります。

 こう思い出してみると、やはり「宇宙幻想」で取り上げられた曲が私の好みの根本になっていると思います。

 さて冨田さんというと気になることが一つあります。NHK「今日の料理」のテーマ曲(のだめでも出てきましたね)は冨田さんの作曲なのですが、スウェーデンの作曲家アルヴェーンの「夏至の徹夜祭」という曲の第一主題にそっくりなのです(一部では有名な話)。作曲年代は「今日の料理」の方が後です。
冨田さんが剽窃したとは思いませんが、ここまで似た曲が出来るのかなぁと、不思議に思っています。


【参考文献】
ウィキペディア フリー百科事典
http://ja.wikipedia.org/wiki/冨田勲
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヒューゴ・アルヴェーン

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