前回、吹奏楽界の方では、編成はあまり守られているものではないと書きました。それでも、オーケストラの何管編成というような標準的な編成はあります。ある意味、日本の吹奏楽の基準ともいえる、全日本吹奏楽コンクール課題曲の公募要項にある編成を見てみましょう。
これは、要項にあるA編成とされているものです。B編成というものもあり、こちらはオーボエ、バスーン、E♭クラリネット、アルトクラリネット、ホルンW、ストリングベースがない場合でも演奏できるよう配慮し、かつ打楽器群を4名以内で演奏可能と指示されています。 また、各パートの人数については、全日本吹奏楽コンクール実施規定の中学校の部、高等学校の部の参加人員が50人以内とありますので、この50人を私の考えで割り振ったものです。打楽器群は5名としました。 これが標準的な編成ではないかなと思います。もちろん、異論のある方はいらっしゃいますと思いますが、ここではこれで話を進めます。 作曲家の皆さんは、課題曲以外の場合は、この編成に多少の変更を加え、作曲することになると思います。最近の曲は編成が大きくなっているものもありますから、この倍くらい必要な曲もあるのかも知れませんね。 私が中学生のころですから、もう三十年ほど前になります。あるときのバンドジャーナル誌の読者からのハガキのコーナーで、「オーケストラ曲を吹奏楽にアレンジするには、弦楽器パートをそのままサックスパートに移してしまうのが簡単でよいのではないか。」という質問が載った記憶があります。回答の方は「そんなに簡単には行きませんよ。」といった感じだったと思いますが、実際に確認してみましょう。 上の編成を#74で書きました、オーケストラの二管編成では大きい部類に入る「第九」のものと比べてみます。(今回は表でページを稼ぎます)
楽器の種類だけ見れば、最初に私が大雑把に言っていた「オーケストラから弦楽器を除いて、サックスとユーフォニアムを加えたものが吹奏楽。」といえなくもないのですが、数まで見るとかなり違っていることが分かります。 双方にある楽器で、吹奏楽の方が人数の多いパートを見ていくと、 フルート、クラリネット族。 逆にオーケストラの方が多いパートは、 オーボエ、ファゴット。 これらの楽器は、オーケストラの譜面をそのまま吹奏楽に持ってきてしまうと、バランスがひどく悪いものになってしまいます。弦楽器パートをサックスパートに持ってくるという単純なものでは上手くいかないことは、すぐに分かってしまいました。 それでは、次回はもうちょっと突っ込んで、オーケストラ曲を吹奏楽にアレンジする際のパートのやりくりを考えてみましょう。 【参考文献】 全日本吹奏楽コンクール課題曲 -第18回朝日作曲賞- (作曲公募要綱) / 社団法人 全日本吹奏楽連盟・朝日新聞社 全日本吹奏楽コンクール実施規定 / 社団法人 全日本吹奏楽連盟 社団法人 全日本吹奏楽連盟のホームページ http://www.ajba.or.jp/ ウィキペディア フリー百科事典 http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァイオリン属 |