(峰) 「え!?」「はあ?」 (木村) 「バレたか」 (千秋) 「このオーボエ協奏曲の編成は35人!」「ヴァイオリンは1stが10人! 2ndが8人!」「だからこの曲ではおまえらは出番なし」 というのは、「のだめカンタービレ」(#7)でのR☆Sオケの初練習直前の風景ですね。このときにはまだR☆Sという名前は付いていませんでしたが。 このシーンは、こっそり練習に加わろうとした木村と峰に対し、千秋がお前らはメンバーではないと言っているのですが、オーケストラ関係の方は「当然じゃん」と思うでしょうし、吹奏楽方面の方は「何故?」と思う人がかなりいるのではないかと思います。 で、今回は編成から見てのオーケストラと吹奏楽の違いを考えてみたいと思います。 オーケストラ曲の編成には決まりがあるのです。上の例のようにモーツァルトのオーボエ協奏曲の場合は二管編成と言います。その他には、三管編成、四管編成、、というようにだんだん大きくなっていきます。何管という最初の数字は、木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット)が各何本あるということを表しています。これに金管楽器、打楽器、弦楽器が加わってオーケストラになります。(こう書くとオーケストラは木管楽器が主体みたいですね) この木管楽器の数に合わせて、金管楽器、打楽器、弦楽器群の数も決められておりました。ということで、冒頭の千秋のセリフが出てくるわけです。 古典以前では、どこぞの貴族のオーケストラというように演奏する楽団が決まっていることが多かったので、作曲者はその編成に合わせて作曲をしていました。しかし、ベートーヴェン以降は作曲者の表現のために編成を決めていったので様々な編成が生まれることになりました。 ベートーヴェンの交響曲を例にとって見ますと、9曲とも二管編成なのですが、
というように、曲ごとに違いがあります。青字の部分が変化のある部分です。第1,2,7,8番が基本的な二管編成で、第4番でフルートを1本に減らしている以外は何かしらの楽器が増やされています。また、弦楽器については、第2番まではチェロとコントラバスはオクターブの関係を持ち同じ動きをしていましたが、第3番以降は完全に別のパートとして扱われるようになります。これらの変化についてはベートーヴェンが史上初めて行ったものがいくつかあります。 ベートーヴェンより後の作曲家になってきますと、三管、四管と編成を大きくしていきます。また、金管楽器などは新しく発明されるものもあり、作曲家によっては他では使われていない楽器を入れることも良くありました。 以上のように、二管、三管、四管、、といった基本的な編成の決まりはありますが、曲によって必ずしも同じではないということです。 そして、曲で指定された編成というのは守られる事が基本になっています。つまり、AというオーケストラとBというオーケストラが、同じ曲を演奏するとすれば、同じ人数で演奏するということになります。 しかし、これにも流行というのがあって、様々な指揮者が演奏効果を考え楽器の数を加減してきたという歴史があります。更に1990年頃からは初演当時の編成を再現するという流れもあり、現在では同じ曲でも何種類かの編成があるという状態になっています。軽い考えで変更すべきではないにしろ、100%守らなければならないということではないようですね。 まとめると、オーケストラの編成というのは基本的な決まりがあって、指揮者、楽団の考えによって若干の変更がある場合はある、ということになります。決してクラリネットが5人居るからと言って、5人全員が(曲に指定がなければ)ステージに上ることはないのです。 どうしてわざわざこんなことを書くかというと、吹奏楽においては編成は楽団やパートの都合で決めることが多いからなのですね。これについては次回としましょう。 2007.3.3(追記) 「第九」にコントラファゴットが抜けていましたので、追記しました。 【参考文献】 「のだめカンタービレ」#7 / 二ノ宮知子 / 講談社 管弦楽 / ルイ・オベール マルセル・ランドスキ 共著 / 小松 清 訳 / 白水社 文庫クセジュ ウィキペディア フリー百科事典 http://ja.wikipedia.org/wiki/オーケストラ |