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73.どう違うの?

2007.2.10


 吹奏楽にそれほど詳しくない人から、「オーケストラと吹奏楽とどう違うの?」と、訊かれることが時々あります。そんなときは、「オーケストラから弦楽器を除いて、サックスとユーフォニアムを加えたもの。」などと答えておりました。考えてみれば、かなり乱暴な回答ですが、まぁ、質問した人は、もとより音楽に詳しくない方なので、詳しく説明すると返って分かりにくくなるのではないかと思い、そんなふうに答えているわけです。

 しかし、この回答は当を得ているのでしょうか。最近編曲をしつつ、遅まきながら、オーケストラと吹奏楽の違いは単に楽器の足し引きだけではないぞと思うようになってきました。
 まず、質問に対し編成についてしか答えていません。最も大きな違いではありますし、質問者の知りたいところもその辺かと思われるのですが、その他には、演奏するジャンルや曲、成立の歴史などを上げても良いのではないかと思います。

 では、編成については後でゆっくり述べるとして、演奏するジャンルや曲について考えてみます。
 オーケストラの場合、クラシック、映画音楽、ポピュラー、歌謡曲、ジャズ、ロックなど、まぁ、向き不向きはありますが、とりあえずありとあらゆるジャンルの音楽を演奏することが出来ます。もちろん、クラシックがかなりの比率を占めることはいうまでもありません。
 吹奏楽の場合、クラシック(オーケストラからの編曲、アレンジ物などといわれます)、映画音楽(オーケストラからの編曲)、ポピュラー、歌謡曲、ジャズ、ロックなど、これまたほとんどのジャンルの音楽を演奏することが出来ます。
 一番大きな違いは吹奏楽曲(オリジナル曲などといわれます)です。これだけはオーケストラにはありません。と、言いたいところですが、吹奏楽曲をオーケストラ版に編曲したものもあることはあります。(スーザのマーチやK.フサの「プラハのための音楽1968」、G.ホルストの第二組曲など)
 このオリジナル曲とアレンジ物が二大ジャンルになるわけですが、オーケストラによるクラシックほど占める割合は多くありません。ポピュラー音楽の演奏比率はある程度高くなります。
 そういうことで、演奏ジャンルの比率は違いますが、守備範囲はほぼ同じといえそうです。

 次に歴史についてですが、これこそ真面目にやると大変長くなりますので、例によってかなり乱暴に言ってしまいます。
 オーケストラは王侯貴族たちの娯楽から始まりました。一方吹奏楽は軍楽隊から始まったと言うことが出来ます。大きな違いのように思えますが、軍隊だって王侯貴族たちの持ち物だったこともあるわけですから、もとは同じ発祥といえるかもしれません。
 となると、屋外での演奏に難がある(直射日光に弱い、大きな音が出ない)弦楽器を除いたものが、軍楽隊になったといえるでしょう。
(本当に乱暴すぎる考えですので、鵜呑みにしないでちゃんと本を読んでくださいね。)

 結局、やっぱり最初の説明に近くなってしまいました。では次回は、編成について、「何とかの考え」を述べてみたいと思います。
 

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