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381.日本らしさ

2013.10.5


 それでは日本らしさとはどんなものかと、これまたざっくりと私の思っていることを述べたいと思います。勿論、日本のクラシック音楽、吹奏楽曲を網羅的に知っている訳ではないので、知っている範囲でという偏った知識によるものでです。

 日本らしいといえば、まず民謡がテーマになっていることが考えられます。外山雄三の『管弦楽のためのラプソディー』などは、その最たる曲でしょう。「あんたがたどこさ」「ソーラン節」「炭坑節」「串本節」「追分節」「八木節」といった日本全国の民謡が盛り込まれています。この曲は、NHK交響楽団の欧米ツアーのためのアンコール用の曲として作曲されましたので、まさに日本を紹介する曲といえるでしょう。

 また、民謡そのものを題材にしていなくても、その地域の音階や和声に基づいて作曲されていると地域色が強くなります。
 これまた勝手ながら、地域色が強いと思われる作曲家を挙げてみたいと思います。

 北海道は、伊福部昭。『タブカーラ交響曲』『交響譚詩』『土俗的三連画』など北方民族やアイヌの旋律を使った曲が代表的です。

 次に我が信州ですが、小山清茂で決まり。『信濃囃子』は処女作。全国各地の題材を元に作曲していますが、一番しっくりくるのは信州信濃を題材にした曲ではないかと思っています。

 大阪といえば「大阪のバルトーク」といわれる大栗裕。『大阪俗謡による幻想曲』は、『神話』に次いで演奏されているでしょうか。

 京都、奈良を題材にした古の曲が多いのが、吹奏楽界から櫛田胅之扶 (「てつ」の字は環境依存文字です。文字化けしている方もいるかも)。『飛鳥』は作曲は1969年ですが、人気に火が付いたのは1980年のコンクール全国大会で敦賀市立栗野中学校が演奏してからではないかと思います。

 民謡などを用いた曲は多くあるのですが、それを持ち味としている作曲家というのは意外と少ないという気もします。

 日本人は宗教観が他国と異なっているということもあって、宗教を題材にした曲も日本独特の感性となって表れている曲があります。
 黛敏郎の『涅槃交響曲』、芥川也寸志の『エローラ交響曲』など。

 さて、民族的でも宗教的でもなく、しかし日本らしさが表れている作曲家というと、保科洋ではないかなと思っています。吹奏楽曲が多いのですが、『風紋』は課題曲となって以降も演奏機会が多いですし、『古祀』も人気があります。題材そのものに日本の旋律や和声は強く出ていませんが、曲全体の雰囲気として日本人が親しみを感じる何かが表れているように思います。

 では、日本らしさとは何かと上に書いたようなことを要約してみると… う、難しい。

 日本人だったら、聴けばなんとなく感じるでしょう。と、無責任な一言を残して今回はお終いです。
 今後、考え続けていかなければならないテーマですねぇ。  

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