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343.音楽の要素

2013.1.12


 タイトルが中途半端なのですが、「私が音楽の要素の中で一番大切なものと考えているもの」と書きたかったのです。「音楽で一番大切なもの」としてしまうと、気持ちとか、歌う心とか、メンタルな方向を思う人もいるでしょうし、それはそれで大事なことですが、音楽の要素ではないので外したいですし、まぁ、私が一番大切と考えていることであって、もちろん異論を否定するものではありません。ということで、本当のタイトルは長かったのですが、スペースの関係で短くしてしまいました。まぁ、音楽の要素について考えてみるということです。

 音楽の三要素というと、「リズム、メロディー、ハーモニー」ということは、義務教育の内に習うことだと思います。単純に考えてみると、メロディーは歌、ハーモニーが伴奏、リズムが打楽器という感じで、歌謡曲やポピュラーミュージックは、ほぼこれだけで成立していると思います。もちろん、前奏、1番(Aメロ、Bメロ、サビ)、2番繰り返し、間奏、3番繰り返し、というように形式というものも加わってきます。メロディーに対旋律が加わったり、ロック、フォーク、カントリー、和風、現代風といったスタイルが特徴として加わっていきます。
 これらが、次の段階の要素として、「対位法、形式、様式」という形となります。
 という話は、以前にもどこかで紹介しました、吉松隆著「夢見るクラシック 交響曲入門」に書かれてかかれております。ちょっと、自分なりに意訳していますが。

 では、リズム、メロディー、ハーモニー、対位法、形式、様式で、私が一番大切だと考えている要素は何かというと、実はこの中には無いのです。ここまで書いておいてずるいと思われるかもしれませんが。

 私が。考えている一番大事な要素とは、リズム、メロディー、ハーモニー以前にある、音色であります。ちょっと話はそれますが、ここまで要素として3つずつセットになっていましたので、音色と並ぶもう2つを考えてみると、音程と音量という要素が考えられると思います。「音色、音程、音量」だけでは、音楽にはなりませんから、一段階前の音の三要素といったところでしょうか。まぁ、音が無ければ音楽にならない(譜面に表すだけなら、音自体は不要ですが)ので、要素の一つではありましょう。

 そういう訳で、音色のお話です。

 どうしてそう思うようになったのかというと、単純な話、学生時代のあるときに聴いたアンサンブルコンテストの金管五重奏。中学生だったと思いますが、ホルンの音色が実に形容しがたいいい響きをしていたのです。曲については全く憶えていず、純粋に音色だけで感動していました。

 先日もアンサンブルコンテストを聴きましたが、コンテストである故、優劣を付けなければなりません。私も聴きながら、素人審査員になり賞の予想などをしてしまいます。
 譜面通り吹けていない、明らかに演奏ミスが多い、音程が合わないなど言うことが現れていれば、良くない方の成績になっていくでしょう。
 譜面通り演奏でき、音程も合い、ハーモニーも良いという段階になると、次に差が出るのが音楽的かということになります。表情豊かに歌っているか、曲の様式に合わせた表現をしているかなど。ここまで出来てくれば、上位は確実ですが、1位2位の差となると何の違いによるものでしょうか。
 その差は、音色だと私は思うのです。よくいう言い方をすれば、「楽器が良く鳴っている」ということでしょう。
 おかしなもので、音色の良いチームは、若干音程が怪しかったり、ミスがあっても、そんなに下手に聴こえないものです。「色の白いは七難隠す」という感じでしょうか。

 この音色というのは、演奏者個人の基礎的なスキルに依存する度合いが大きい要素です。フィンガリングや音程というものは、ある程度練習すれば上達は見込めますが、音色というのは長い期間をかけて作っていくものであり、また個人差もあり、上達の度合いが読めない要素でもあります。
 指揮者として、バンドで曲造りをしていますが、フィンガリングの練習をしたり、音程を合わせたり、リズムを合わせる、表情を付けるということは、指示し易いですが、「良い音色にしてください。」ということは、言ったとしても演奏者としてはその場でどうにもできません。
 ましてや、練習時間の少ないアマチュアは、歳を取ってくると皮膚や筋が老化して音色づくりには不利になっていくのですね。(打楽器や
ピアノの音色については、ちょっと置いておいて)

 さて、そんなことを考えながら、年頭に当たって、いい演奏をするために今年の練習はどうやっていこうか、算段しているところであります。

【参考文献】
吉松隆 / 夢見るクラシック 交響曲入門 / ちくまプリマ新書

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