FM放送というと、最近ではカーラジオでしか聞かないようなもので、最近のオーディオでは重要度は下がってしまったような感があります。 30年程前のオーディオ全盛期には、FM放送は一大メディアであり、重要な音源入手先でした。クラシックレコードの新譜、オーケストラのライブ放送など、エア・チェックと言ってカセットテープに録音してコレクションしていました。 当時は、FM週刊誌というのがあって、二週間分のプログラムが掲載されていて、録音したい番組をチェックしたものでした。 いい音で録音するためには、FMチューナー、カセットデッキがある程度の性能を持っていなければならないのは当然ですが、最も大事なのはFMアンテナでありました。 放送局に近い所であれば3素子のアンテナで十分でしたが、遠くの放送局の放送を聴こうと思えば7素子、8素子といった大きなアンテナが必要な物でした。また、市街地での受信は、ビルなどによる反射波との干渉でマルチパスという現象が起こり、ジュルジュルジュルジュル気持ち悪い雑音がのってしまうのでした。これの対策は指向性の鋭いアンテナを正確に放送局の方に向けるという、設置のテクニックが必要でした。 まぁ、随分苦労して楽しんでいたものです。 またラジカセの場合は、FMラジオにはロッドアンテナ(多段式に伸び縮みする棒。最近見る機会がずいぶん減って知らない人も多いのではないかと危惧して説明しております)が付いていて、オーディオ的に気にしなければ、それはそれで使えていたのであります。 さて先日、それこそFM放送を車で聞いていた時に、リスナーに番組から欲しい物をプレゼントするという企画をやっておりました。そのリスナーの欲しい物は、FMラジオがちゃんと聞けるラジカセということでありました。番組パーソナリティーは「今持っているラジカセはアンテナどうなっているの?」と尋ねると、リスナーは「ひも」と答えたのでありました。 「ひも」とは何ぞや? どうも最近のラジカセのアンテナはケーブル一本で済ますものもあるらしい。と思い、心当たりがあることに気づきました。 私の現在のオーディオシステムのメインはオンキョーのCR-D2というCD/FMチューナーアンプでありまして、付属してきたアンテナが、 こんなケーブルでした。確かに「ひも」です。 我が家の立地では、さすがにこれではまともなFM放送受信は出来ませんので、一応つないでいますがFMを聴くことはありません。 それでも、もう少し前のチューナーに付属してきたアンテナはフィーダーアンテナ(これも、ケーブルだけでしたけど、もう少し感度は良かった。)でしたけどね。 また、所有しているSONYのウォークマン(NW-A855)もFM受信が出来ますが、何がアンテナになっているのかというと、ヘッドホンのコードなのですね。で、取扱説明書には「コードを長く伸ばせ」と書いてあります。使用形態からしてかなり無理があると思いますねぇ。 ネットでの音楽配信も多くなり、FM放送を高音質で録音したいというニーズは減ってきているのですよね。流し聴き出来ればいいという程度でしょうか。 確かに、屋根に上ってアンテナ立てるより、ネット配信の方が楽ですから。ちょっと、寂しいと思いつつ、別段気にしないのでありました。 |