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334.アンケート

2012.11.11


 演奏会のパンフレットの中には、他演奏会のチラシに混じってアンケートというものが入っていることがあります。
 まず、どこから来たか、職業、年齢、性別、楽器経験、所属団体と言った個人情報に類するものから、演奏会を何で知ったか、何回目の来場か、来場の動機ということを尋ねられます。
 それから、どの曲が良かったか、又は、曲ごとに(・良い・普通・悪い)の評価を尋ね、今後取り上げてもらいたい曲、その他お気づきの点、団員へのメッセージ辺りを自由に書くようになっていて、一通りの質問が終わります。

 これは、よそ様の演奏会でもありますし、私たちの演奏会でもパンフレットに挟んでおります。で、私が毎回思ってしまうのが、「このアンケートで何が分かるのだろうか」、又は「何を知ろうとしているのか」ということであります。分かることがあれば、それを次回からの演奏会に反映していくことになるのですが。

 まず、個人情報の辺り。年齢層が分かればそれに合わせた嗜好の選曲が出来るでしょう。吹奏楽関係者が多ければ、吹奏楽オリジナル曲がある程度必要ということも解ります。
 演奏会を知った媒体の効果が分かれば、次からは効果の大きい広告手段に力を入れればよいでしょう。来場回数については、初めてかリピーターかで、曲や企画の評価がどう別れるかの分析をしたりできます。
 曲それぞれの評価は、来場者の嗜好や人気のある曲が分かるでしょね。取り上げて欲しい曲は、来場者の嗜好そのものですね。
 あとの自由なメッセージは、いろんなことが分かるはずですが、大抵は出演者への個人的なメッセージのようなものが多いでしょう。

 こう書くといろんなことが分かるようですが、まずこのデータの信頼性はどれほどあるかということが不明であります。私も統計学については、ほとんど睡眠学習でありまして身についていないので偉そうなことは言えないのですけれど。
 アンケートの回収率は、多分、来場者に対し50%より少ないように思います。来場者を母集団、回答者をサンプルとすると、サンプルが母集団を代表しているか、ということが問題です。アンケートの回答をする/しないによって、回答にバイアスがかかっていると、代表とはなり得ないのですね。来場者の多くに小学生がいてもほとんどの小学生が回答していなければ、小学生の感想は全く不明のままです。また、回答者の多くが「面白かった」と書いても、回答しなかった人のほとんどが「面白くなかった」と思っていれば(まして、書かなかった理由が「面白くなかったこと」であれば)、この設問の回答は全く逆になってしまいます。

 また、母集団を来場者に限ってよい物か。来場しなかった理由も知るためには、母集団は来場を想定しているすべての人になるわけです。
 さすがに、曲の感想は来場しなかった人には訊けませんが、取り上げて欲しい曲なんかは知りたいですよね。
 そういうことを言いだすとキリが無くなってしまいますねぇ。

 ということで、アンケートを取るのはよいけれど、そのデータをどのように信用してよいのかが何とも言えないので、私としては「メッセージだけを書いてもらえばいいんじゃないの。」なんて思ったりしています。

 個人的な考えになりますが、大体私という人は他人から意見されるのがあまり好きではないので(あ~、また、そういうことを言っちゃうから嫌われるんだ)、アンケートに書かれていることは、自分に都合の良いことしか読まないのですね。

 まぁ、私のことはさておいて。そうやって得られた、皆様のご意見を次回の演奏会にどう活かすかというと、企画担当がいろいろ考えている様なのですが、やはりデータの扱いには苦慮しているようです。
 取り上げてもらいたい曲などは、意見はバラけ易いですし、たまにリクエストの多い曲があっても最近やったばかりとか。中には、今回やった曲を次回もやってくれというのもありましたねぇ。
 結局は、企画担当での意見で決めていくことになってしまうのであります。ということは、やっぱり都合のいいことしか読まないのと同じですね。

 否定的なことばかり書いてしまいましたが、来場者と演奏者とのコミュニケーションツールの一つですから、無くしてしまって良いかというと、そうでもないのです。ただ、扱いに対して考えが難しいなぁと、思っている次第なのでありました。 

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