アンコールとは、鈴木淳史著『クラシック 悪魔の辞典【完全版】 / 洋泉社』(P12) によれば、 もともと料金に含まれたサーヴィスなのに、一定の儀礼を要求され、しかもありがたがって拝受しなければいけない演奏。 だそうであります。 まぁ、一般的に考えれば、プログラムに記された曲の演奏が終わった後、聴衆の拍手に応え演奏されること、となると思いますが、言い回しを変えれば、確かに鈴木淳史さんの言うようにもなりますねぇ。 何はともあれ、聴衆からしてみれば、コンサート最後のお楽しみであり、どんな曲が演奏されるかワクワクして待っているものです。 どんな曲が演奏されるかといえば、その日のプログラムにちなんだ曲であるとか、海外からのオーケストラであればその国にちなんだ曲であるとか、その時話題になっている曲とか、何かしら選曲の意図がある場合が多いようです。オーケストラがめったに来ない地方公演の場合、超有名な曲(ブラームスのハンガリー舞曲第1番など)が多いんじゃないでしょうか。 アンコール曲を用意していない場合もあり、そういう時はその日のプログラムの中から選ばれたり、メイン曲の最後の部分(曲の途中から)を演奏したりすることもあります。 また、メインプログラムの余韻を消さないために、アンコールを演奏しない場合もあります。『第九』のあとにいくら拍手が続いても、アンコールは演奏されないでしょう。 実際私が聴いたコンサートの思い出としては、二十数年前のNHK交響楽団の駒ケ根公演(所謂地方公演)でのことでした。 プログラム全部は憶えていないのですが、メイン曲はベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調『運命』でした。指揮者は、岩城宏之さんだったか、外山雄三さんだったか、ちょっと記憶が定かではありません。 『運命』の演奏が終わり、一頻りの拍手の後で指揮者が客席に向かってこう仰いました。 「『運命』のような大交響曲を演奏した後で、アンコールに相応しい曲というのはありません。それでも、せっかくの機会ですので、よく考えまして次の曲を演奏します。」 そして、J.S.バッハの管弦楽組曲第3番からアリア(所謂G線上のアリア)が演奏されたのでした。 この件を聴いて私は、アンコールの選曲もよく考えなければならないのだな、と思ったのでした。 まぁ、今考えてみると、この指揮者は『運命』の演奏の後は、いつもこの説明をしているのか、アンコールを演奏しないのか、ちょっと疑問ではありますけれど。 さて、ここに一枚のCDがあります、、、。と、ここまで来たところで、一応文字数を稼いだようなので、この続きは次回にまわしたいと思います。 【参考文献】 クラシック 悪魔の辞典【完全版】 / 鈴木淳史著 / 洋泉社 |