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301.1分分の値段

2012.3.25


 日曜朝7:30からの某番組で“がっちり”出来るネタはないかと毎週楽しみにしているわけですが、本日の放映は、「時代遅れビジネス」というテーマで、もう儲かるはずは無いというものが意外と売れているということで取り上げられていました。その一つに、カセットテープ。

 カセットテープといえば、私たちの年代が青春を送っていた頃が全盛であり、製品開発による高級化があったり、パソコンの黎明期にはデータの保管先としても利用されておりました。
 MDの登場やディジタルオーディオプレーヤーの台頭によってほとんど絶滅したと思われておりましたが、意外なところで生き残っていたという。最新のメカに強くない年配の方がカラオケの練習用に使うとか。メーカーの方も「あと10年は売れそう。」なんていっていましたが、あぁ、やっぱり10年程度しかもう用は無いのですねぇ。
 で、番組の中でカセットテープの歴史がざっと流れたのですが、その中で登場した最高級カセットテープの実物(未開封)がまだウチにあったのです。
 何回も書いておりますように、引越しをして古い荷物が開封され再発見されたものの一つです(これから暫く再発見モノが続くと思います)。

 
 日立マクセル(株)製の Metal Vertex 90 であります。片面45分、両面で90分録音できるというものですが、値札がまだ貼ってありますとおり、1845円で購入したものです。定価は2,000円で1割引に消費税3%(当時)よりちょっと値引きしているという価格ですね。シリアルNo.まで刻印されているのが驚きです。そこまで品質管理をしていたのですね。
 カセットテープに2000円というのは当時大変高価なモノでありました。一般的なオーディオ用のものは1,000円まではしなかったように思います。メタルテープは1,000円は越えていたかな。まぁ、滅多に買える物では無かったですね。
 
 パッケージ裏面を見ますと、このカセットテープが如何に優れているかということが書かれているわけですが、ちょっとこの画像だと分かり辛いですね。
 更に注目すべきことが書いてあって一番下の行、
 
 分かり辛いですけれど、戦略物資等該当品と書いてあります。当時はココム規制って言っていましたかねぇ、国によって輸出できないものなのですね。今ではカセットテープ程度で貿易管理令に該当するものはないと思いますが(調べてないけど)、大変な性能のカセットテープであったということが伺えます。

 それで、現在では高音質で録音するのに、一分あたり幾ら位掛かるのかなぁなんて、ふと思ってしまいました。

 このカセットテープの場合、2,000円÷90分ですから、約22円であります。
 CD-RにCDを焼いた場合、いまCD-Rって、同じマクセルのCD-R80分10枚セットだと、680円(by ヨドバシ.com)ですから、一枚当たり68円ですね。68円÷80分で、0.85円、、、85銭です。1円しません。

 いやまてよ、いくら高性能カセットとはいえ、CDをデジタルコピーできるCD-Rと同じ音質ということは無いでしょう。ということで、MP3形式で320kbpsで圧縮した場合を考えてみます。手元にあるSONY WALKMAN NW-A855の取扱説明書で見ると16GBで約106時間40分録音できるとあります。これは、約6400分ですね。では、16GBのメモリが現在幾らするかというと、昨日の某家電量販店の折り込み広告で、16GB USBフラッシュメモリが1,250円でありました。1,250円÷6400分で、
 約0.2円
 であります。最高級カセットテープの1/100以下の値段です。まぁ、これからもっとメモリの単価は下がっていくでしょうけれど、これは大変な落差であります。

 カセットテープは年配の方が使うために残っているなんて言っていましたけれど、私だってもうすぐ年配の口になるわけで、そうしたらアナログ機器の復活なんてのも望んでいたりする訳です。
 それらは、価格から言って結構な贅沢品になるのでしょうね。

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