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292.『信濃の国』

2012.1.21


 昨年の6月に家などを新築してしまい、長い借金生活が始まっている私ですが、その引越しに当たりまして、長い間倉庫に眠っていた私の財産を新居の蔵に移したのでありました。移すと言っても、段ボール箱毎運び込んだわけではなく、中を確認して要らない物は捨てるということを行いました。
 まぁ、最近流行の「ときめく・・・なんとか」程には行きませんが、要らん物は要らんと、分別作業をするのです。しかし、懐かしい物などが出てくると暫し見入ってしまい(何しろ古いものは、30年以上前の学生時代のものまである。これらは、後でそれぞれのネタとして書きましょう。今回はその第一弾という事でしょうか。)、作業が滞ることが暫しありました。
 私は引越しを数回行っており、その度にしまいこんでしまう荷物があり、10年毎くらいにタイムカプセルが作られていたのです。
 大抵の物は、いつどのようにして入手したなど、由来を思い出せるのですが、中には最近の記憶力低下によって忘却されてしまった物もあり、「何故こんなものがあるのだろう。」と思うものも出てきました。

 その一つが、上に画像を載せました、「長野県歌『信濃の国』吹奏楽譜」であります。B4の紙にコピーされ、コンデンススコア、パート譜一式が、ホチキスで綴じられています。ホチキスは外された様子も無く、またページに折り目も無いことから、この譜面を更にコピーした様子もありません。つまり、使われた形跡はないということです。
 この譜面で演奏した記憶もありません。忘れてしまっているだけかもしれませんが。

 で、この譜面がどの辺の地層から発掘されたかというと、およそ25~28年前のものなのですね。学校を卒業する辺りからしばらくの間です。
 考えられるのは、学校の吹奏楽部の楽譜庫から持ち出してしまったということなのですが、何故このような曲の譜面を持ち出したのでしょうか。アンサンブル用に譜面に書き直そうとしたのかな。とにかく思い出せません。
 まぁ、要は自分の物でない物を持ち出したわけで、有体に言うと悪い事をしたわけです。

 それはそうと、中身を見てみましょう。

 表紙には、ご覧のとおり「第11回高校吹奏楽コンクール合同演奏曲」と書いてあります。第11回高校吹奏楽コンクールというのはいつのことでしょうか。長野県吹奏楽連盟のウェブサイトのコンクール課題曲の一覧のページによれば、第11回は1971年(昭和46年)になります。私は小学校2年生で吹奏楽の「す」の字も知らなかったころですね。

 信濃毎日新聞社の文字が見えます。吹奏楽コンクールといえば朝日新聞ですが、譜面に関しては信濃毎日新聞社が用意したのでしょうか。それとも、コンクール自体が別物*だったのかもしれません。とすると、第11回の時期も変わってきますね。まぁ、こういったことは、長野県吹奏楽連盟に行って調べてくれば分かる(きっと何十年史とかあるに違いない)と思うので、あまり気にしないでおきます。

 1ページめくると楽器編成。
 フルート、オーボエ、E♭クラリネット、B♭クラリネット(1、2、3)、
 アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、
 トランペット(1、2)、E♭ホルン(1、2)、バリトン、トロンボーン(1、2)、 ユーフォニアム、B♭バス、ドラムス
 今から比べると、小編成という感じです。アルトサックスは1パートです。ホルンがE♭というところも時代を感じます。メロフォンを使っていたのでしょうね。最近のホルンはF管ですので、直接譜面を読むことはできません。
 それからB♭バスというのも曲者で、現在、チューバの譜面は、ヘ音記号の実音で表記されていますが、B♭バスというのは、ヘ音記号で変ロ調に移調され長九度上げて記譜されています。私も中学一年生のとき、こういう譜面を読んだことはありましたが、最近では一般に読める人はいないでしょうね。
 あと、バリトンとユーフォニアムが別パートになっています。通常は、同じパートで、楽器の呼び名が違うだけなのですけれど。英国式ブラスバンドでは、バリトンとユーフォニアムは別楽器なので、そういった編曲を考えられたのでしょう。
 ということで、パート譜は揃っていても、直接読めないパートがありますので、使い難いということが分かりました。

 次のページには、歌詞と作詞者、作曲者、編曲者の解説、その後に、コンデンススコア、パート譜と続いています。
 譜面には、「1965.7.10」という文字もあり、完成した日が記されているものと思われます。編曲者の高木正三は、解説によると昭和40年7月に没したと書かれていますので、亡くなる直前に作られた譜面ということになりますが、、、。

 ということで、県歌『信濃の国』の吹奏楽譜面が何故か私のところにあったというお話でした。(まぁ、譜面の管理状態の良い高校の吹奏楽部には、きっと存在している譜面ですけれど。)

【2012.3.10追記】
 ご指導いただいている先生に伺ったところ、当時「信濃毎日新聞吹奏楽コンクール」があったとのことです。

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