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264.芝居と吹奏楽と

2010.10.2


 芝居、といえばこのサイトでは田子天彩氏を応援している訳ですが(しかし最近は連絡は来ないし、引越しはするし、メールアドレスは変えちゃうし)、更新することも忘れている有様であります。
 まぁ、東京に住んでいる時分には、3回舞台を観に行っており、可能な限り足を運んだものでしたのにねぇ。

 現在、芝居を見るといえば、駒ヶ根市民吹奏楽団と同じ施設を練習会場としている「芝居の会」の皆さんの舞台となります。アマチュアながら、熱意と気迫は凄まじく、プロに迫らんとするものを感じることがあります。
 とまぁ、そんな皆さんの芝居を観ながらこんなことを考えておりました。

 芝居と吹奏楽とを比べてみたのです。どちらも舞台を使う芸術でありますから、共通する部分もあり、そうでなかったりする部分もあり、なかなか面白いなぁと思いました。

 まず、演目について。
 芝居には、脚本というものがあります。そして、その元になる原作というものがありますね。これらは吹奏楽で言うと、クラシックの原曲と吹奏楽への編曲の様な関係でもあります。吹奏楽の場合は、オリジナル曲というのがあり、芝居でも原作のないオリジナル脚本というのもあるでしょう。なんか、ピッタリですね。
 芝居の進行を書いた台本というのは、吹奏楽では総譜(スコア)に当たるでしょう。役者さんは皆さん同じ台本を見ますが、吹奏楽では演奏者は自分のパート譜しか見ません。ここはちょっと違います。また、吹奏楽のコンサートの進行を表すのは台本であり、舞台配置、照明、音響なと芝居と同じ様なものになります。

 それから、今回「芝居の会」の皆さんは、既成台本を使われたそうです。ここ3回は自作のオリジナル脚本を演じられたそうですが、今回はプロの作った既成台本だそうで、かなりの実力を要求されたそうです。
 これも、吹奏楽ではアマチュアの私が編曲した譜面を使うのと、プロが作・編曲した譜面を使う関係にも似ています。ただ、譜面の場合はプロの譜面を使うことが圧倒的に多いので、あまり意識はしていませんね。

 次に、演者についてです。
 芝居ではもちろん役者さんでありますが、主役、準主役、相手役、脇役、通行人A、その他、など役に重み付けがあります。一度に舞台に上がる役者さんというのも多くても10人程度ではないでしょうか。吹奏楽でいうと全員がソリストに近いアンサンブルのような感じですね。
 吹奏楽では、協奏曲の場合は独奏者が主役ではありますが、通常の曲ではメロディ、伴奏、ベース、リズムなどの役割はあるものの、重み付けの感覚は希薄の様な気がします。私も練習では「そのメロディが主格だからしっかり歌って」など言っていますから、重み付けは有ることは有るのです。そして人数ですが、通常50人前後、多い楽団では100人近くステージに乗ります。そういうことからも、芝居ほど役というほどの強い意識はなくなってしまうのでしょう。

 そして、スタッフについて。
 芝居では、美術(大道具、小道具)、照明、音響、衣装、などがあります。吹奏楽では、単に演奏するだけなら、ほとんど要りませんね。企画もののステージを行うときには、必要になります。まぁ、小芝居をやるようなものですから。

 最後に、責任者?と言って良いのかな。
 芝居では、舞台監督、演出といった方がその任にあたりますね。演ずる芝居をどのような物に仕上げていくかを決断し、役者に指示を出していきます。吹奏楽でいえば、これはもちろん指揮者になるわけです。同じ様に音楽を仕上げていくために奏者に指示を出していきます。
 ところが、舞台監督と指揮者では大きな違いが有ることにふと気付きました。
 舞台監督は舞台に上がって観客の前に姿を現すことはないのです。カーテンコールなどで最後に現れる場合はあるでしょうけれど、芝居の最中は姿を現しません。指揮者は、ステージの真ん中に立ち、奏者と一緒に音楽を進めていきます。まぁ、「曲が始まってしまえは指揮者は何もすることは出来ないんだよ。」などと言うことはありますが、やはり指揮者がいなければどうにもならないこともあります。
 ここが一番違うところだなぁ、なんで一人で感心しながら芝居を観ておりました。

 そして、蛇足。
 拍手を受けるのは、芝居では役者さんたち。吹奏楽では指揮者が独り占めしているような勘違いをしてしまうことが、時々あったりします。

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