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263.リクエスト

2010.9.26


 このサイトでは、基本的に皆さんからのリクエストは受け付けていず、専ら私が編曲した譜面をご希望の方にお送りしているという運営を行っております。
 にもかかわらず、先日ある中学生の方から編曲の依頼がありました。まぁ、これがフルバンドの編曲であれば即座にお断りしていたのですが、三重奏ということで、その編成に惹かれる物があったことと、依頼者の中学生が私の子供と同じ学年の三年生であり部活最後のアンサンブルになるという所に心を動かされまして、引き受けることにしました。

 その編成とは、
  フルート、 ファゴット、 コントラバス、・・・

 仲良し三人組だそうです。市販の譜面は探してみたけれど無かったということで(まぁ、そりゃ無いでしょうね)、譜面を作ってほしいとの依頼です。

 この編成を見て真っ先に思い出したのが、ゴードン・ジェイコブ作曲の「《アニー・ローリー》による変奏曲」です。この曲の編成も変わっていて、
 ヘッケルフォン、バスクラリネット(2)、コントラファゴット(2)、サーペント(どんな楽器でしょうか?)、バスサーペント(更にどんな楽器でしょうか?)、バスチューバその他の超低音楽器群に2本のピッコロが加わった物であります。要するに、冗談音楽です。1956年の第1回ホフナング音楽祭コンサートで演奏されました。超低音楽器群がモゴモゴ動く中をピッコロがキャラキャラ飛び回るという曲です。
 ファゴット、コントラバスが低音楽器で、フルートが高音楽器ですから似たようなイメージです。曲のリクエストは「カルメン」でということでしたので、組曲の中のからこんな感じにアレンジすれば良いかななんて思っておりました。低音系がテーマを演奏して高音が変奏を演奏するという、上手く出来ればカッコイイと、思いませんかぁ、(ふふっ、ふぅ~)。

 そんなところに次のメールが届きました。曲のリクエストを三人で話し合った結果、ガーシュウィン「ラプソディインブルー」、ホルスト「木星」、サティ「ピカデリー」、ヴィヴァルディ「春」のどれか。そして、締め切りが一週間後。うーん、さすが中学生。手加減を知らないなぁ(まぁ、それは大人になってから覚えてもらいましょう)。

 曲については、まず私が「ラプソディインブルー」と「春」のスコアを持っておらずすぐ着手できません。「木星」はこの三重奏ではイメージが沸かず、サティの「ピカデリー」でやらせてもらうことにしました。

 ところが、締め切りは一週間というのにその間に泊まりの出張が入り、何やかやで着手できたのが締め切りの前日。
 慌てて、「ピカデリー」のピアノ譜をスキャンして、誤変換の修正、Finaleに取り込み、三重奏用にパートの振り分けを考えつつ、曲をそのまま演奏したのでは「ヒネリが足りないのでは」、と考え蛇足になるかとは思った物の、3箇所ほどいたずらを付け加えました。ところが、編曲が完成する前にタイムアップ。
 一日延期のお詫びメールをして、翌日、編曲を完成させ、パート譜まで作ってメールで送ることが出来ました。慌てて編曲したために少々怪しいところなどは残ってしまいましたが、原曲のピアノパートも付けましたので、依頼者の方で(変だと思ったら)修正してもらいましょう。

 出来上がったスコアはこちら。そのうち、音源も載せてみましょう。

 多少、ファゴットの音域が高くキツイかなと思う所もありますが、そういうところは1オクターブ下げていいと思います。

 というわけで今回はリクエストを受け付けましたが、今回限りですのでよろしくお願いいたします。

【参考文献】
サーペントってこんな楽器
「北欧からコンニチハ」http://ameblo.jp/kattsingen/entry-10249245751.html

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