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259.マーチって難しい

2010.8.29


 ここでマーチというのは、行進曲のことで、自動車の名前や大学の頭文字ではありません。まぁ、そんなことはいわなくても分かりますか。

 本日、第53回中部日本吹奏楽コンクール長野県大会中学校の部(大編成)を聴いてまいりました。吹奏楽コンクールといえば、全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催する全日本吹奏楽コンクールが有名であり、通常の場合こちらを差します。中部日本吹奏楽コンクールというのは、中部日本吹奏楽連盟(こちらは全日本吹奏楽連盟の下部組織ではなく独立した連盟ですね)と中日新聞社が主催するコンクールであります。本日は県大会であり、代表に選ばれれば本大会に進む様になっております。

 全日吹連のコンクールと同様に、課題曲と自由曲を演奏いたしますがちょっと違うのが課題曲がすでに出版されている有名にマーチであることです。今年は、
A.「錨をあげて」 チンマーマン作曲
B.「国民の象徴」 バグレー作曲
C.「フローレンス行進曲」 フチーク作曲
D.「美中の美」 スーザ作曲
E.「ジュピター」 ヤン・バン=デル=ロースト作曲
という曲でした。
 大編成15校を聴きましたが、課題曲は、Aが8校、Bが6校、Dが1校という按配で、もうちょっとバラケてもいいんじゃないかなぁという気がいたしました。自由曲に長めの曲を選ぶので課題曲は短めのを選ぶのでしょうか。

 で、今日聴いたマーチですが、曲が始まった瞬間か、長くて8小節程度のうちにそのバンドの実力が殆ど知れてしまうのですね。
 始まった瞬間というのは、マーチを演奏するための発音が出来ていないということでしょうか。マーチというのは大抵フォルテなりフォルテシモで始まりますが、それだけの音を出すスピード感が伴っていない、という団体が殆どでした。そして最初の8小節というのは、前奏の部分ですが、ファンファーレやメロディの歯切れが悪かったり、やはりマーチとしての有るべき姿になっていないのですね。
 その後は、メロディー、リズム、ベース、伴奏パートといった音楽演奏の基本が出来ていないところがボロボロ出て来るのです。

 ここに上がっている、行進曲の大抵は、中学校で吹奏楽を始めて半年くらいで演奏してしまうような曲です。それは、やはり演奏のための基本や基礎の力をつけるために最初のうちに練習するのですが、どうもそれが上手く行っていないところが多いような気がします。

 確かに、譜面ヅラはそれほど難しくないので、演奏を通すことはすぐ出来るでし、あまり長く練習するのも飽きるでしょう。しかし、実力が一発でわかるという恐ろしい曲でもあるのですね。4時間掛けて15校を聴いてひしひしと感じました。マーチ侮るべからず。

 マーチで演奏すべきは、「歩く」人のために必要な音になります。
・はっきりとした音量と発音。
・正確かつ分かりやすいテンポとリズム。
・メロディー、フレージングの心地よさ。
この辺りが主になると思いますが、シンプルにきれいに出来ているところはなかなかありませんでした。
 中には、逆に過剰な表現を加えてしまったがために、(私にとっては)気持ち悪いマーチになっていた学校もありました(一番いい賞を取ったようですが)。

 そんなわけで、マーチをまともに聴かせようと思ったらとても難しい物だと、一人納得しながらコンクール会場を後にいたしました。

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