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244.両立できる?

2010.5.15


 そういうわけで、この短期間にバリトンホルンとチューバという2本の楽器を購入したのでありました。2本買っても30万円でお釣りが来るという価格には驚きましたが、中国製の品質をどの程度評価するかも微妙です。外観仕上げや動作のスムーズさを重要視する人にとっては、4倍以上の価格で一流メーカー品を買った方が精神衛生上いいでしょう。

 私も仕事の関係で中国の製造現場(私の会社の業界ですが)を見てきましたが、組み立てや仕上げなんていう手作業は、しっかり指導すればかなりいい仕事をするのです。中国の労働者の平均月収を考えると、例えば3時間余分に時間をかけても500円程度の原価UPにしかならないのです。500円の原価UPが売値にどれほど影響するかは、その会社の原価率によりますが、1万円(原価率5%として)上げたところでチューバの価格への影響は少ないと思えます。私だったら1万円払って動作や仕上げが良くなるんなら喜んで払いますけどね。
 まぁ、それができないということは、生産台数に対する労働者の人数が足りないか、指導・検査が甘いということになりますね。
 そう思うと、製品品質はまだまだ上がる余地はあるということだなぁ。実際、一流ブランドの下位グレードは中国で生産しているようですし。

 いかんなぁ、いきなり仕事目線で楽器を見てしまった。


 今回は、そんなことを書きたいのではなくて、ユーフォニアムとチューバを両立して演奏することは出来るか、ということであります。

 一番の違いはマウスピースです。カップの内径でいうと、ユーフォニアムのものが26mm程度、チューバが32mm程度です。つまり唇の振動する幅が6mm違うということです。この6mmが、ユーフォニアムでは固定され、チューバでは柔らかくなければならないのです。
 マウスピースのカップ側からの写真を見てみましょう。
 
 左がユーフォニアム用、右がチューバ用です。見た感じ6mm以上の差がありそうですね。直径で6mmですから、片側は3mmです。このわずか3mmの違いなのですが、楽器演奏においては大きな違いになるのです。

 ユーフォニアムを吹いてからチューバを吹くと、普段振動していない端の部分まで振動することになり、全音域に渡ってなかなか安定した音が出せません。
 チューバを吹いてからユーフォニアムを吹くと、唇全体が柔らかくなってしまっているので、端の方を振動させない高音域が出しにくくなります。

 ちなみにマウスピースにはいろいろなサイズがあり、Backのマウスピースカタログを見てみると、ユーフォニアム用の一番大きなサイズが1Gの内径28mm 、チューバ用の一番小さなサイズが32Eの内径29.5mm、その差1.5mmです。これなら両方使えるかも。でも、音色を考えると中途半端でしょうねぇ。

 そういうわけで、唇がマウスピースに馴染むのに時間が掛かりますから、一日のうちに両方の楽器を演奏するというのは無理でしょうね。遊びで吹く分には自由ですが、ステージで演奏するというのはダメですね。

 学生時代に行ったサマーセミナーのユーフォニアム・チューバクラスで、講師は佐野日出男さん(チューバ奏者)だったのですが、セミナーの途中で(休憩時間だったかな?)ユーフォニアムをチョコっと吹いていましたが、まぁ、結構不自由そうな音がしていました。プロでもやらないということですね。 ん?でも、どこか外国のブラスアンサンブルで持ち替えていたのを見たような気がしますが、気のせいだったたかな。

 まぁ、私がやるときは、といっても楽器演奏の機会はほとんど無いような気がしますが、吹く楽器に合わせて練習期間をとる様にしなければならないでしょう。チューバについては、一旦は基礎練習をしっかりしておきたいと思います。そのために「倉庫へ行って、」など言って練習しているのです。

 異なる楽器を吹くに当たっては、マウスピースの違いだけではなく、発音の仕方、息の使い方、など沢山の違いがあります。同じマウスピースを使う、トロンボーンとユーフォニアムでも両方を吹き分けられる人はなかなかいない様に思います。バリトンホルンとユーフォニアムも実は微妙に違っていて、同じようにコントロールできないところがあります。
 それを承知の上で、やろうとしているわけですから、バカといわれても仕方ないですねぇ。

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