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242.違う楽器を吹くということ

2010.5.1


 前回「持ち替え」について、とりとめもなく知っていることをつらつらと書きました。要約してみると持ち替えが出来る条件は、

1. 同属楽器であること
2. 持ち替える楽器の出番が一時的であり、演奏者を一人用意するまでもない事。
3. A管←→B♭管 など、曲の調性にあわせる場合。ただし、これは作曲者の指示により、音色を重視して指定する場合もある。

 といった所でしょうか。オーケストラの場合は作曲者の指定が一番拘束力が強く、つぎに慣例や指揮者の指示によるでしょう。吹奏楽の場合は、プロとアマチュアで状況は異なっていますね。プロの場合はオーケストラに準じており、アマチュアの場合はその楽団の状況により判断されているでしょう。

 このように、演奏者の担当(担当という言葉が適当か分かりませんが)する楽器は決まっており、担当と違う楽器を吹くということはあまり許されている状況ではないと思われます。まぁ、音大では副科といったでしょうか、専攻外の楽器を演奏することもあるようですので、全く無いわけではありませんが。
 ですから、担当外の楽器を吹いているのを見ると快く思わない人も多いのではないかと思うのです。まぁ、守備範囲から外れるなという感じですね。自分が一生懸命吹いている楽器を、担当外の他人がいい加減に吹くというのも気持ちのいい話ではないでしょう。また、上手かったらそれはそれで面白くないでしょうし。

 ところがですね、世の中にはそんな人の気も知らず、好奇心旺盛、目立ちたがり屋、というような人がよくいらっしゃいまして、自分の担当外の楽器を吹きたいと思う人がいるわけです。人の楽器をちょっと借りて吹く位はいいでしょうが、気持ちが強くなってくると買ってしまう人も出てきます。だいたい地味目な楽器の人がトランペットやフルートを買ってしまうというパターンが多いのではないでしょうか、、、。値段も手ごろなところからありますからねぇ。

 すみません。 それは私です。

 私はトータルでトランペットを3本買いました。2本は手放しましたが、1本はまだ手元にあります。JUPITERのポケットトランペットJPT-416です。二十数年前、JUPITERが日本に上陸した頃に4万円で購入しました。台湾製ということでしたが、それほど品質は悪くはありませんでした。持ち運びが楽だったため、いろんなところで気楽に吹いておりました。

 今ではトランペットを吹きたいという気持ちはあまり無くなっておりまして、当時のユーフォニアムからの浮気を少々反省しております。
 西澤保彦さんの推理小説『黄金色の祈り』(文春文庫)には、このあたりの心理描写が書かれており、非常に気恥ずかしい思いをいたしました。西澤さんにもそういう経験があるのかしら。


 ちょっと、ここからは私の楽器遍歴っぽくなります。

 もともと中学で吹奏楽を始めたとき、私はチューバ担当でした。中途入部だったので、楽器を選択する余地は無く、部室に連れて行かれチューバを持たされたのでありました。持たされたというより、チューバの前に座らされたということか。
 高専に入学し吹奏楽部に入部する際には、やはり多少はメロディのある楽器に移りたいという気持ちがありユーフォニアムを希望しました。まぁ、後々楽器を買いたくなったときに、さすがにチューバは買えないなぁと思ったせいもあります。それ以来ユーフォニアムを専門にしております。

 社会人になって1年目に突如チューバが欲しくなります。といっても安月給ですので高価な楽器は買えません。
 当時、中学時代の同級生が楽器店に勤めており、安く売ってもらえるという話がありました。(彼は長野県の吹奏楽界ではかなり有名な存在になっておりまして、名前を言えば分かる人も多いでしょう)
 YAMAHA(実はNikkan)のYBB-103というコンパクトタイプのフロントアクション3本ピストンです。当時の定価は\250,000程だったと思いましたが、お友達価格で売っていただきました。
 今思い出したのですが、駒ヶ根市吹に入団して最初の演奏会は、ユーフォニアム奏者よりチューバ奏者が足りないということで、このチューバでステージに立ったのでありました。

 その後は、指揮をする様になり、ユーフォニアムを吹く時間さえ少なくなり、一層このチューバを吹く機会は減っていきました。
 現在この楽器は、ただ持っていてももったいないということで、市内のブラスバンドのある小学校に永久貸し出ししております。

 あぁ、それなのに、最近になってまたチューバが欲しくなってしまったのです。ということで、続きは次回。

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