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241.持ち替えはどこまで

2010.4.17


 「持ち替え」というのは、オーケストラや吹奏楽などの演奏の場面では、それまで演奏していた楽器から別の楽器に持ち替えて演奏することであります。どういった場合に持ち帰るかというと、いくつかのパターンがありますので、まずそれらを挙げてみます。

 まずオーケストラで最も多いのが、作曲者が指定している場合です。これは最も厳格に守られている物です。作曲者の言うことは守らなければなりません。

 吹奏楽においては、特に人数の少ないアマチュアバンドの場合は、演奏者が少ないためにやむなく持ち替えることになります。あるいは、その楽器を特定のメンバーしか演奏できない場合などもあります。
 この例が良くみられるのは、コンクールなどであります。演奏者が座ったまま持ち替えるのはよいのですが、バスクラリネットやファゴットなど大きな楽器に持ち替える場合は、演奏者が席を立ちその楽器の場所へ移動して演奏するという、見ていて「何事か?」と思う場面もままあります。打楽器などは演奏中に人が移動することは当然のことですが、管楽器の場合はほとんど無いことですから。
 私が見た最も驚いた持ち替えは、課題曲でチューバを演奏していた人が自由曲でオーボエに持ち替えた時(逆だったかもしれません)であります。禁止されていることではないので失格にはなりませんでしたが、審査員はどう見るのでしょうかね。演奏内容が主な評価対象だとは思いますが、あまりいい印象はないと思います。

 次に、ジャズバンドなどの場合は元から人数が少ないのですが、使用する楽器も多くはないので、サックスとフルート、トランペットとフリューゲルホルンといった物がほとんどでしょう。

 ちらっと具体的な楽器名を出しましたが、どのような楽器が持ち替えられるかということを挙げてみます。
 まず木管から。フルートとピッコロが最も多いと思われます。それから、オーボエとイングリッシュホルン(コーラングレ)、B♭クラリネットとE♭クラリネット、Aクラリネット。クラリネットの場合は更に、アルトクラリネットやバスクラリネットへの持ち替えもありますね。そして、バスーンとコントラバスーンなど。
 金管の場合は、トランペットとピッコロトランペット、コルネット、フリューゲルホルン。持ち替えとはちょっと違いますが、ワーグナーチューバはホルン奏者が演奏するようです。その他の金管楽器は実際には持ち替えは珍しいと思いますが、可能なのはトロンボーンとユーフォニアム、バリトンということが考えられます。ソロなどで美妙に音色を変えたいときなどテナートロンボーンとバストロンボーンを持ち替える人もいますね。
 ユーフォニアムとバリトンホルンというのは私としてはやってみたい思うところがあります。

 弦楽器の持ち替えは無いと考えていいと思います。詳しく調べたわけではないですが、、、、。弦楽四重奏で一時的にコントラバスの音が欲しくなってチェロ奏者に持ち替えさせるなんてことが有るのかもしれませんが、、、、聞いたことが無いですね。

 主には管楽器での持ち替えが多いのですが、持ち替えが可能とされている楽器は、同属楽器で発音部分であるマウスピースの差が小さいことが条件でしょう。ジャズバンドのところで挙げた例でフルートとサックスがありますが、これらは発音系は違います。この場合は指使いが良く似ているために可能なのだということを聞いたことがあります。
 また、マウスピースの大きさが似ているといっても、トランペットとフレンチホルンを持ち替えることは無いでしょう。と思ったのですが、コンクールなどではあるのかもしれませんねぇ。

 楽器の持ち替えというのとは少し違いますが、演奏中にマウスピースを変えるということも有るようです。金管楽器の場合、アンブシュアを変えないためにマウスピースは変えないものと思っていましたが、侍ブラスのコンサートでトロンボーンの中川英二郎さんが曲の途中でマウスピースを替えたのにはちょっと驚きました。こういうこともありなのですねぇ。

 さてさて、持ち替えについて特に実のない事をたらたら書いてみましたが、これは次回への前フリなのです。さて次はどんな事を書きましょうか。

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