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238.高級器とは

2010.4.1


 あなたはアマチュアの管楽器プレーヤーだったとしよう。持っている楽器は、例えば学生であれば父親がどこからか調達してきた見知らぬメーカーの物であったり、例えば社会人であれば一流名門メーカーの高級器を入手することは叶わずやはり見知らぬメーカーの物であったとする。
 見知らぬメーカーというと、なんとなく入手してみて調べてみたら実は大変な名門であった、ということはまず有り得なく、ほとんど100%の確率で発展途上国で作られた実は得体の知れないメーカーであろう。
 得体の知れないメーカーといっても、日本で入手できるということは、それなりの流通量があり全く無名ではないということである。

 余談になるが、台湾にJUPITERというメーカーがある。このJUPITERの楽器が日本に上陸したころに、あるプロプレーヤーに訊ねたところ「真面目に相手にする物ではないです。」との答えだった。しかし、現在ではどうかというと、一流と肩を並べたと言えるかは難しいが、かなり信頼の置けるメーカーに成長してきていることは確かである。

 現在において、当時のJUPITER的な存在のメーカーは、某大陸に多くあり、日本にも多く輸入されている。今後、良いメーカーに成長するかは全く分からないのではあるが、楽器店のウェブサイトを見ていると、信じられない価格で高級器の格好をした楽器が売られている。トランペットあたりならば「お小遣いで買っちゃいました」などといえる価格で有り、その他の楽器では安いとはいえ多少の覚悟は必要な価格である。それでも欲しいと思えば買ってしまうのだが。

 さて、そのようにして買ってしまった場合、「某大陸製の安い楽器買っちゃったよ。」なんて余裕を言ってられる場合はいいのだが、そうは言ってもある程度の大枚を叩いて買った楽器である。良いメーカーの楽器だと見てもらいたいに決まっている。
 新しい楽器を持って、部活や吹奏楽団に行った場合、「えっ、楽器買ったの? 見せて見せて。どこの楽器?」と人が集まってくる。そのときに、某大陸のメーカー名などを答えようものなら、集まってきた人達は何事も無かったように通り過ぎていくであろう。また、答えなくても、管楽器にはベルの目立つところにはメーカーのエンブレムが刻印されている。眼の早い人ならば、そのエンブレムを見てメーカーを察してしまうであろう。特に金管楽器の場合は、大きく目立ちやすいのである。
 困ったことである。このエンブレムさえなければ、、、。

 そう、エンブレムが見えない、あるいは立派なメーカーの物に見えればよいのである。「見えない」という訳にはいかないから、別のエンブレムをつけるのが得策である。しかし、あからさまに一流有名メーカーの物をつけてしまっては、嘘であることがすぐバレてしまう。
 とすれば、いかにもありそうな感じの知る人ぞ知るというメーカーをでっち上げ、立派なエンブレムを作りステッカーとして作ってしまうのが良いのではなかろうか。今では、パソコンを使い金色のシートに印刷という形で容易に作成できるのではなかろうか。
 メーカー名を訊ねられた時でも、「え、○○○、、、ドイツの名門だよ。」などとすっとぼけることが出来る。これは、名案である。
 まぁ、言ってしまえばステッカーチューンってヤツなんだろうけれど。

 どうだろうか、某大陸製の安価な楽器を持っている皆さん。あなたの楽器を、夢の高級器に変身させてみては。



 などと、エイプリルフール向けのアホなネタを考えてみましたが、実際にあったのですよ。(残念ながらショップのサイトが無くなっていました)
 いや、この商品は鳴り方が変化する効果があるとされていますから、私の考えた下衆な物とは違うでしょう。ということで、早速注文してしまった私でした。 きっといい音に変わるんだろうなぁ。。。

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