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237.バリトンホルンを買いました

2010.3.27


 私は吹奏楽で演奏する際にはEuphoniumを持ちますが、楽器はBessonのSOVEREIGN 9672 であります。20年程前、円高で輸入品が安くなってきたときの、ある楽器店のフェアに出かけて行き、その価格に驚き衝動買いしてしまったものです。

 

 当時、私はYAMAHAのYEP-321Sを所有しておりましたが、学生時代から10年以上使用しており、かなりくたびれていていて、そのフェアでYEP-621Sあたりが安かったら購入を考えようかなと思って行ったのです。しかし、Bessonの価格を見て、「この価格ではもう手に入るまい。」と即断し購入してしまいました。現在の価格のおよそ半額でありました。
 以来20年以上使っております。まったく問題なく演奏できますので新しい物に買い換えるつもりはありませんし、買い換えたいと思っても100万円程度する物をおいそれとは買えません。「お前にその楽器を吹きこなす腕があるのか?」と天から声が聞こえて来そうです。この9672だって、吹きこなしているとは言えないですからねぇ。

 そういう訳で、新しい楽器を購入したいという欲求は起こすこともなく、日々を過ごしておりました。

 突然話は変わって。
 吹奏楽ではEuphoniumが使われますが、オーケストラを見ていますと似たようなサイズでちょっと違う楽器を見ることがあります。楕円形でベルが上を向いているロータリー式バルブの楽器で、ワーグナーチューバとかバリトンホルン、テナーチューバなどといわれる楽器であります。
 よく行く楽器屋さんには、これらの楽器やカタログも置いてなく、「いったいどこで買うことが出来るのだろう。」と安直な疑問を持っておりました。

 更に話は変わって。
 少し前に、市吹のメンバーを増やしたいという話し合いの際、「チューバを吹きたいんだが楽器を持っていなくて来られない人がいる。楽団で用意するとか、考えられないか。」という意見が出ました。そこで、チューバとはいかほどで入手できる物なのだろうか(YAMAHAの一番安価な機種なら20~30万円だったような気はしていましたが)と、ネット検索をして調べて見ました。
 そしてチューバは安い物なら中国製で20万円以下から入手することは分かってきました。しかし、使い物になるかは不明です。あるところでは「楽器の形をしたオブジェ」などということも言われているようですし。
 まぁ、この辺のことは、また別のネタで扱いたいと思っています。

 それでですね、ネット検索を繰り返しているうちに見つけてしまったのです。そのワーグナーチューバやらバリトンホルンを。そして更に中国製の安価な物も有ることが分かりました。
 チューバを探した際に知ったJ.マイケルというメーカーさんです。どういうメーカーさんかはサイトを見ていただくとして、ここの海外向けモデルでワーグナーチューバやバリトンホルンがあります。海外向けモデルといっても取り寄せで入手は可能なようです。
 ワーグナーチューバはホルンのマウスピースを使う様に出来ているため、ホルン奏者が吹くことが多いです。バリトンホルンはユーフォニアムのマウスピースを使いますので、私が吹こうとすればこちらの楽器になります。
 在庫を持っている楽器屋さんも見つかり、その価格を見て「うぅむ。」と唸ってしまいました。お小遣いで買えるとは言いませんが、手を出すのが難しい額ではありません。「欲しいなぁ~。」と女房に相談して、注文してしまいました。その晩の内に、楽器屋さんから返信メールが来て翌日に発送してもらえるという事もわかりました。

 本当でしたら、実際に楽器店で試奏させてもらって、品質や鳴りを確認したいところですが、現物が近所にないので仕方ありません。中国製の品質という物が心配では有りましたが、全く音が出ない事も無かろうと思っておりました。

 しかし、バリトンホルンの音ってどんなんでしょう? 勝手に想像するに、ちょっと古めのヨーロッパ方面の吹奏楽CDで、ユーフォニアムの音ではない軽くて拡がりのある音が聴こえるものがあるのですが、そんな感じかなぁと思っております。


 さて、二晩経って楽器が届きました。これです。
 J.マイケル バリトンホルン BT-950

 

 ざっと見た感じ、極端に悪い品質ではなさそうです。細かいところでは造りが丁寧でないようですね。マウスパイプの左のあたり、ラッカー仕上げのヘアラインが乱れているのがお分かりでしょうか。ラッカーポリッシュで磨けば直るかな? そもそもラッカー仕上げにヘアラインてあったっけ? まぁ、この位の事は問題にしません。私が最初に買ったYEP-321Sは銀メッキが広範囲に紫色に変色しており、返品交換してもらった経験がありますから。

 ロータリーの動きも問題ないようです。家でそのまま吹くわけにはいきませんので、サイレントブラスを付けブーブーやってみました。しばらく吹いてみましたが、生の音が出せないのでちょっとつまらなくなり、いろんな所を見てみました。で、さすが中国品質というところが、一つ二つ。

 抜差管の仕上げが、丁寧でないですねぇ。スライドグリスは一応塗ってあるのですが、抜き差しするとジャリジャリしてスムーズでありません。

 

 写真の緑の四角で囲った管の端面の仕上げが悪いようです。それに一度抜いてしまうと、再度挿入するのに上手く行きません。特に主管抜差管がよろしくありません。通常の楽器では、二つある管のどちらかが長くなっていて、長い方を先に差し込み、その後で短い方を合わせて挿し込む様になっています。この楽器は、二つの管が同じ長さになっていますので、同時に差し込まなければならないのですが、こじってしまってなかなかスムーズに入らないのです。
 これについては、翌日、金管楽器用の研磨剤を買ってきて、磨いて柔らかめのスライドグリスを多めに塗ったところ、かなり改善されました。まぁ、そういった仕上げが丁寧でないのでしょうね。

 次に、第一ロータリーを操作すると、レバーの支柱とロッドのジョイント部分が当たってコツコツ音がすることがあるのです。

 

 写真の緑の丸で囲ったところです。分かり難いですね。レバーの押し方によって当たらないこともあるので、微妙な調整で回避できるかもしれませんが、設計的に余裕が無いのは確かです。

 まぁ、そんな感じで、その他の部分は問題ないですから、一流メーカーの1/10以下の価格であることを考えれば、楽しく遊べるというものです。

 さて、実際に出る音はどうなのか。果たしてバリトンホルンの音とは?
 楽しみにしながら、次の市吹の練習に持ち込んだのですが、、、。
 (続く)

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