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182.ある葛藤

2009.3.14


 私はこのようなサイトを運営しておりまして、作成した譜面をご希望の方に提供しております。何をいまさら、と思われるかもしれませんが、まぁ、文章の書き出しということでご容赦下さい。
 譜面をご希望の方が、私にその旨を伝える手段は、このサイトに提示してありますアドレスへのe-mailであります。住所、電話番号、本名(バレバレですが)も公開していませんから、そうなります。

 そういうわけで、私は譜面希望のメールを受け取ることになるのです。大抵の方は、大変丁寧な文章で、演奏したいという熱意とともに、ご希望の譜面を書いていただいているのですが、見た瞬間に「どうしたものか」と思ってしまうメールが何通かありました。
 どんなメールかといいますと、

(例1)
 展覧会の絵の楽譜をお願いしたいんですが、よろしいですか??

(例2)
・ベートーヴェン交響曲第7番第1楽章エクストラクション
・ベートーヴェン交響曲第7番第4楽章
をよかったら送ってくれませんか??

(例3)
ベートーヴェンの交響曲第5番第1楽章の楽譜を下さい。

という感じでして、えぇ、これだけです。
 要するに、「ご自身のお名前を名乗っておられない、挨拶なし、要件のみ」というメールです。
 お名前に関しては、私もハンドルネームでやっておりますので、本名でなくてニックネームでもかまわないと思うのですが、挨拶くらいは書けないものかなぁ、と思ってしまいます。
 一応、私も「譜面をご希望の方へ」の中で「譜面ご使用にあたってのお願い」ということを書いているので、それに対するお答えなんかも欲しいとは思っているわけですし。

 私も仕事の上で全国いろんな所へ行き、いろんな方にお会いし、「いろんな考え方の人がいて、自分の常識だけで考えてはいけないのだな。」と実感しているのですが、もうちょっと書き様はあるんじゃないかなぁ、と思ってしまいます。
 そういう思いが強くなってしまった何回かは、「挨拶くらいは書けないものですか?」と、ちょっと怒りを込めて返信してしまっているのです。まぁ、その後は、「物言えば、唇寒し、、、」というヤツで、黙っていればよかったかなぁ、とも思ってしまいます。
 実は、そうやってメールを下さった方は、大変なシャイな方でメールであれだけのことを書くのに精一杯だったとか、ずっとこのサイトを見ていてくれていてやっとの思いで譜面希望のメールを出してみたとか、それだったら大変悪いことをしてしまったなぁ、と思うのです。

 まぁ、そうでない確率の方が高そうな気はしますが。
 たしかに、営業でやっているサイトなんかは、挨拶なんか関係なしで、商品名、数量、金額がはっきりしていればいいわけですしね。私もネット通販なんかでは、挨拶などは書いたことはありません。(サポートへの問い合わせには書きますよ。)
 このサイトを、単なる無料譜面サイトと思っていればそうなってしまうのかもしれませんねぇ。

 実は、私にもちょっと嫌な思い出がありまして、二十数年前の社会人になって間もない冬、あるスキー場にスキーをしに参りました。ちょうどそのときにゲレンデで無料甘酒サービスということをしていました。
 大抵の時間は混んでいたので、空いてきた時を見計らってもらいに行ったのです。
 「下さい。」
と、一言だけ言いました。甘酒を配っていたお兄さんは、
 「ない。」
と答えました。私はそのまま立ち去ったのですが、その後に来た女の子には配っていました。何か私は悪かったのでしょうか。愛想良く挨拶しなかったからでしょうか。私は、知らない人に声をかけるのが非常に苦手なのです。とりあえず勇気を振り絞って甘酒を所望したのです。たかが甘酒一杯なのですが、イヤーな思いをしたのです。

 というわけで、例のようなメールをいただきますと、「譜面を見ていただけるだけでありがたいのだ。サイトを見てくださっている方を大事にしなければ。」と思い、また甘酒を思い出すのです。でも、時々一言文句を言ってしまうのです。

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