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166. 315円の価値

2008.11.24


 カー用品店へスタッドレスタイヤの履き替えに出かけた際に、ちょっとした時間が空いてしまったので近くにあったホームセンターへぶらりと立ち寄ったのです。よく来るお店なのですが、何か面白い物は無いかなどと店内を徘徊しておりました。

 ホームセンターというと、生活に必要なものは、ほぼ揃っているのですが、家電などになると家電量販店では置いていない見知らぬメーカーの安価な製品があったりして怪しげな雰囲気を感じることもあります。CDも置いてありますが、こちらもCD屋さん程の量は無く、聞いたことの無いようなレーベルで1枚1,000円ほどで売られていたりするわけです。クラシックも申し訳程度に名曲と言われる有名どころが置いてあることが多いですね。そういった場合、それこそ名前を聞いたことのないマイナーなオーケストラで、実際に聴いてみるとお世辞にも「いい演奏」とは言えないか、メジャーな指揮者&オーケストラであっても録音が古くて音が悪く聴くに堪えなかったり(海賊盤だったりするのかしら?)、まともな気持ちで買おうと思える物は無いのでした。まぁ、時々珍しい曲を見つけることはあるので、全く無視してはいなかったのですが。

 ちょっと前あたりから、この手のCDで315円というものを目にするようになりました。CD 1枚が315円です。いくらなんでもこれは聴く価値のあるものではないだろうと思っていたのですが、昨日徘徊をしているときに、タイトルをざっと見てみるとちょっと惹かれる物がありました。

 ロドリーゴ / アランフェス協奏曲

 ロドリーゴはスペインの作曲家で、アランフェス協奏曲はギターのための協奏曲です。第2楽章のメロディーが美しくポピュラーにアレンジされた有名な曲です。わたしは富田勲の「宇宙幻想」に収録されたことで知った曲であります。レコードもCDも買ったことは無く、中学時代にFMラジオを録音しただけでした。生演奏は昨年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで聴いております。
 これが時々見つける珍しい曲というヤツです。手にとってオーケストラを確認してみると、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団とあります。英国の名の通ったオーケストラです。録音年代と指揮者・独奏者の名前が不明なのですが、一応デジタル録音されているようなので古いものではなさそうです。と言うことで、「何があっても315円、飲み屋でビール飲むより安い。」と思い、レジへ向かったのでありました。実際には300円でした。

 帰宅して聴いてみると、ある種の驚きに襲われました。
録音。 悪くないです。クリアな音質ですし、よく響いています。
演奏。 まともです。おかしなところはありません。名演かどうかという判断はできませんが、普通に3,000円出して買ったCDがこれであっても不満は無いでしょう。で、問題の指揮者・独奏者はよく見るとジャケットに小さく
Conductor : Jacek Kaspszyk / Soloist : Carios Bonell
とありました。私としては耳にしたことのない人ですが、この演奏ならば全く問題はありません。

 これはどういうことでしょうか。こんなに良質のCDがこの価格というのは。しかも、発売後のディスカウントではなく、最初からパッケージに「\315」と書かれているのです。
 CDのジャケットに書いてあった、「THE ROYAL PHILHARMONIC COLLECTION 」「ロイヤル フィルハーモニック コレクション」というキーワードをもとにネット検索してみました。

 そして分かったことは。
 大手チェーン系の古本屋さん、レンタルCD屋さん、ホームセンターで売られていることが多い。価格は315円、場合によっては更に値引きされている。
 オーケストラは当然ロイヤル フィルハーモニック管弦楽団。指揮者はユーリ・シモノフ、ユーディ・メニューイン、マッケラスなど有名な人もいるようです(そのほかは私の勉強不足で知らない人が多い)。メリハリの効いた派手な演奏が多い(オーケストラの性格からか?)ようです。CDレビューされているウェブサイトもあり、読んでみると悪いことはほとんど書いてありません。怪演とか、興味をそそる文字もあります。
 つまり、演奏内容は通常の価格で売られているCDとなんら変わりはないということです。

 そうなると、これは買いです。レビューを参考に面白そうな演奏のCDと、普段なら買おうと思わないCDをかき集めるのです。ということで、置いてありそうな店を当たりを付け行ってみました。

・1件目。市内のレンタルCD屋さん。数枚ありましたが、気に入ったものがなく、1枚、
 「『展覧会の絵』 & 『ダフニスとクロエ』第2組曲 他」、315円。
・2件目。最初のホームセンター。ここは一番枚数は置いてあるような気がしますが、気に入ったものが少なく取り合えず、4枚、
 「チャイコフスキー『悲愴』他」、「シューベルト『未完成』 & 交響曲第3番」、「マーラー『巨人』」、「グリーグ ピアノ協奏曲」、300円×4枚。
日は改まって、
・3件目。隣村の別のホームセンター。ここには無し。
・4件目。大手チェーン系の古本屋さん。ありました。しかも本日は100円引きになると言う、、、1枚200円です。5枚ゲット、
「ストラヴィンスキー『春の祭典』 & 『火の鳥(1945版)』、「リヒャルト・シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』他」、「リムスキー・コルサコフ『シェーラザード』 & 『スペイン奇想曲』」、「グリーグ『ホルベルグ組曲』 & 『ペールギュント第一・二組曲』」、「チャイコフスキー『ロメオとジュリエット』 & 祝典序曲1812年 他」、200円×5枚。
・5件目。隣の市にある1件目と同じレンタルCD屋さん。ここには無し。
・6件目。3件目と同じ市内のホームセンター。ここにも無し。
・7件目。三度、最初のホームセンターで残りの中から目ぼしい所を3枚、
「ベートーヴェン『運命』 & 交響曲第1番」、「ベートーヴェン『英雄』他」、「ワーグナー『ワルキューレの騎行』 & 『ジークフリード牧歌』他」、300円×3枚

 シューベルトやグリーグのCDなんてこんなことでもないと買わないですからねぇ。あっ、シューベルトの『未完成』はまだ第8番となっていますね。

 ということで、合計14枚で3,715円。。。。25年前私が最初に買ったCDは1枚で、3,800円でした。


 もう流通在庫くらいしか残っていないようですから、どこかで見つけたら即買でしょう。今回見つからなかったものの中で、ホルスト『惑星』などはかなりいい出来な様ですからね。

 皆さんも、要注意ですぞ。買って損はありません。

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