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165.冬場にやってみる

2008.11.16


 一般的な市民吹奏楽団の年間の行事というと、大きいもので定期演奏会、吹奏楽コンクールというもので、少し小さくなるとファミリーコンサート、訪問演奏などがあります。また、吹奏楽団全体の活動ではないかもしれませんがアンサンブルコンテストというものもあります。
 この中で、最も力を入れ時間を掛けているのは言うまでもなく定期演奏会とコンクールでしょう。定期演奏会とコンクールのどちらにより力を入れているかは、その吹奏楽団の活動方針によるでしょう。
 年間の行事予定を考えいみると、コンクールは夏場、上位の大会に進めば秋まで続きますが、そう多くはないですよね。定期演奏会はそれ以外の時期となりますから、春と秋に行なわれることが多いでしょう。まぁ、コンクールに出場しない吹奏楽団の場合は夏場に行う場合もあるでしょう。さてそうなってくると、活動の谷間となりがちなのが冬場なのですね。この一言を言いたいがために、ここまで引っ張ってまいりました。

 冬場の練習というのはなかなか人が集まらずに悩んでいる吹奏楽団さんも多いのではないかと思います。かく言う私の所属する吹奏楽団もそのような状況にあります。
 確かに、年末、年始、年度末と忙しい状況が続きます。その上、目玉となるような大きな活動の予定がないと、出席も悪くなりましょう。かと言って大きな行事を作ってしまい出席が悪いままだと、目も当てられない状態になってしまうという警戒心から大きな行事を入れられないというジレンマに陥る場合もあるでしょう。なんとか、出席を確保してある程度の行事を行いたいというのが冬場の楽団運営の課題です。
 (といいつつ、演奏会、コンクールの季節は職場、家族の皆さんに負担を掛けているので、行事のない冬場は職場ではしっかり働き、家庭ではサービスしたい、という気持ちで出席が悪くなる人もいるんだろうなぁ、と思ったりもします。どのくらいの人がそうかは判りませんけれど。)

 と色々なことを考えながらも、冬場にやれたらいいなぁと思うことを考えてみました。それはですね、録音です。レコーディング。「それは去年やったじゃないですか。レコーディングするにしたって出席が悪くメンバーが揃わなくて出来ないじゃないですか。」という声も聞こえそうですが、まぁ、ちょっと聞いてください。
 実は回避する策があります。それはですね。多重録音というヤツです。何回か重ね録りすると言うことです。
 最初にいるメンバーで録音します。そして次に、それを聴きながら不足していたパートを演奏し、二度目の録音をします。不足パートがなくなるまで繰り返し、最後はミキシングして完成です。さすがにプロのレコーディングみたいにメンバー分マイクを立てる程機材は揃えられませんから、こんな感じになってしまいますね。でも、PCソフトがあるおかげで編集の方はそれほど手を掛けずに出来そうです。


 この方法で行くと二つ程問題があります。

1.一回目の録音をどのように聴くかという問題
 モニタースピーカーを使うという案。ホールを使えてモニタースピーカーとマイクが離れていてモニタースピカーの音を拾うことがなければ可能なのですが、ホールを使うなどというお金の掛かることは出来れば避けたいものです。
 となると、現実的なのはプレーヤーがヘッドフォンをして聴くことになるのですが、人数分に分配するにはどうしたらよいでしょうか。私が思いついたところでは、FMトランスミッターで音を飛ばし、プレーヤーの皆さんにはFMラジオで受信、ヘッドフォンで聴いてもらうというところですね。FMトランスミッターを調達しなければいけないなぁ。

2.二回目の演奏の指揮はどうするかという問題
 一回目の演奏は普通に指揮すればいいですよね。指揮なしで聴いている音に合わせられる曲ならばいいのですが、テンポの変化がある曲などは二回目以降も指揮が欲しいでしょう。そうなると、指揮者は一回目の演奏にピッタリ合わせた指揮をしなければなりません。
 そこはそれ、『おうちで指揮者』で鍛えた、録音に指揮を合わせるという技が物を言うでしょう。まぁ、失敗しても録り直しはできるので、気楽にやればいいかもしれません。(「運命」冒頭のフェルマータなんか、うまく出来るかな?)

 というわけで、問題点も何とかなりそうなので、やってみたいのですが。ウチの楽団でやってくれるかなぁ。


 さて、余談になりますが、スタジオでのマルチ録音についてこんな話を聞いたことがあります。
 あるTV番組のテーマ曲か何かを金管五重奏で録音することになりました。メンバーについては特定の金管五重奏団ではなく、フリーの奏者をバラバラに選んだようです。ですので、5人揃って演奏するのではなく、都合の付いた奏者からスタジオに来て録音して行ったそうです。つまり、最初に来た人が一人で録音して、次に来た人は1人目の人の演奏を聴きながら演奏して録音。3人目の人は、1人目と2人目の人の
演奏を聴きながら演奏して録音、、、という具合に五重奏を完成させるわけです。
 最初に来た奏者はHorn。さっさと録音して帰って行きました。次に来た奏者はTuba。Tuba奏者はHornの音を聴いて青くなりました。
「どうやって合わせればいいんだよーっ。」
そうです、Hronの出だしは裏打ちだったのです。Tubaは頭打ちだったのでHornより先に音を出さなければなりません。Hornの音を聴いてから出たのでは遅すぎるのです。その方は、どうにかして録音して「さすがプロ」という話になったようですが、、、。(今思うと、ちょっと嘘っぽいなぁ。又聞きのような話ですから、もしかしたら業界の都市伝説かもしれません。)

 今回は、取り留めなくこれでお終いです。

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