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156. 35分

2008.9.13


 調子に乗って『展覧会の絵』などを選曲して、演奏会にて演奏することになっております。調子に乗っていたというのは私のことでして、楽団のメンバーの皆さんは極めて真面目でありました。(私も不真面目というわけではありませんけれど)
 練習も徐々に進んでまいりまして、全曲を通して演奏出来るところまで来ております。選曲の時にはそれほど気にはしておりませんでしたが、全曲で35分という長さは、吹奏楽ではかなりキツイものになります。特に、アマチュアの一般団体においては。私自身は、母校の吹奏楽部の演奏会で演奏(ハインズレー版でしたが)した経験がありましたので、2~3分の曲がほとんどの組曲だから大丈夫でしょう、なんて考えていたのです。

 今回の指揮は私が務めます。それで、ただひとつ忘れていたのは、35分指揮をし続けなければならないということでした。吹奏楽曲の場合は大抵は長くて15分程度なので、そのくらいの経験はあるのですが、35分というのは未体験です。通しの練習が出来るようになるまでは、「本当に35分振り続けられるのか?」と、ちょっと心配になっておりました。しかし、やるといった以上、やらなければならないのです。

 などということを考えているうちに、「そういえば、指揮者とボクサーが体力比べをしたとか何とか言う話を、どっかで読んだよなぁ。」ということを思い出しました。どこで読んだのでしょうか。出典は分らないけれど、ネタにして書いてしまおうかと思いましたが、結論もろくに憶えていないので書きようがありません。確か、ボクサーの方が負けたというような話のはずです。

 あまり、いい加減なことも書けませんので、困ったときのネット検索です。「指揮者 ボクサー 体力」という単語で検索しました。あまり上位の方に出てきませんでしたが、いくつか見ている内に判明いたしました。出典は「おうちで指揮者」でした。自分で持っている本です。そりゃ、読んだことがあるはずです。では、どこに書いてあったかというと、意外と最初の方で、すぐに見つけることが出来ました。引用してみます。


 部外者にとっては、指揮の肉体的側面はちょっと理解しにくいものだ。トーマス・ビーチャム卿は、あるときプロ・ボクサーに指揮棒を渡してこう言った。「どれくらい続けられるか、ずーっと振ってみてごらん」。トーマス卿によると、ボクサーが持ちこたえられたのは9分間、マーラーの交響曲のせいぜい5分の1の長さだった。


 マーラーの交響曲で45分程度の曲はないだろう、という突っ込みはよしとして、プロ・ボクサーであっても9分程度、指揮の経験のない一般の人だったら3~4がいいところというところでしょうか。私だって一般人とはそう変わりませんけれど。今年、指揮者に復帰するまでは何もしていなかったわけですから。(あ、ビリーズブートキャンプを一時期やっていたか)。

 実際には、通し練習をやってみて振り切ることが出来たので一安心することが出来ました。まぁ、かなりの筋肉痛を伴っておりますが。

 そういうわけで、プロの指揮者の体力というのはすごいなぁ、となおさら実感したのです。大御所といわれる方々は80歳を過ぎてもマーラー、ブルックナーといった平気で1時間を越える曲を演奏されるわけですからね。忘れてはならないのは、やはり岩城宏之さん。ベートーヴェンの全交響曲を一晩で振り切ってしまったのですから。

 35分なんて、まだまだ甘いですねぇ、、、。では、次は、、、。


【参考文献】
おうちで指揮者 / ダン・カーリンスキー&エド・グッドゴールド 著 / 齋藤純一郎 訳 / 音楽之友社
 

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