若い頃というのは色々と勘違いをしているもので、歳を取ってきてから「あぁ、それは違うのか。勘違いだったのか。」と気付くというのは、良くあることであります。私も人生において大きな勘違いをしていたものがありました。 それは、学生時代には気付かず、社会人となってから気付いたものでありまして、 世の中で必要なことはすべて学校で教わる。 ということでありました。大きな勘違いですね。学校で教わらないことは数え切れないほどありますよね。 誰しもこういうことはあるようで、例えば小学生なんかに小言なんか言ったりすると「そんなことは学校で教わっていない。」なんて反論してくることもあります。えぇ、私もそんな感じてよく怒っていたような気がします。まぁ、それでも大抵の人は、歳を取るうちに学校で教わらないこともあるんだなぁ、と気付いていくわけです。私の場合ちょっと遅かったのかもしれません。 音楽の場合でも、小学校、中学校と授業があるわけで、そこで譜面の読み方というのを教わります。私の記憶では、小学校5年生頃にみっちりと憶えさせられました。その頃は、こんな風に吹奏楽バカになるなんてこれっぽっちも思っていませんでしたし、ピアノとか音楽のレッスンも受けていなかったので、ただ本当に勉強として憶えたのですね。 中学に進んでから、音楽の授業や吹奏楽部で憶えることは増えていきましたが、基本的には音楽の教科書に載っている範囲での話でした。 まぁ、そういうわけですから、楽譜の読み方というのは、学校で教わったものがすべてだと思っていた、というわけです。 吹奏楽活動を続けていくと、出会う譜面が増えていくわけですが、そうすると中には見たことのない記号というものが現れることもあるのです。そういうときには「こんなの学校で教わっていない。」といちいち怒っていたのです。誰に怒っていたのかというと、、、作曲者にでしょうかね。今思うとおかしな話です。 あるときの初見練習で、やはり見たことのない記号が出現しました。そのとき一緒に練習していたほかのメンバーも誰も知らなかったので、「これは何だ?」ということになりました。その記号とは、 G.P. アルファベットで、「ジーピー」です。この記号があるところは全員が休符でした。ひとしきり議論したあとで、あるメンバーが、 「『頑張って、プレイしよう。』じゃないか?」 と言い、みんなで爆笑したのでした。 「みんな休符なのにどうやって頑張るんだよ。」 と、突っ込んだのは当然のこと。 答は、お分かりのとおり、Generalpause (ゲネラルパウゼ)という、総休止という意味です。無音の状態になるということですね。 またある時、こんな記号を見ました。 V.S. アルファベットで「ブイエス」です。V.S.O.P.というブランデーは見たことはありましたが、V.S.とは何でしょうか。この記号の場合は、全員のパート譜にあるわけではないのですが、どうもパート譜の右下によく書いてありました。さて、どういう意味でしょう。(彼に言わせたら「ぶっ飛ばす」とでも言いそうですな。) 答は、volti subit (ヴォルティ・スービト)と言いまして、「譜面を急いでめくれ」という意味です。その意味を知ったとき、「そんなことまで譜面に書くのかい? 大きなお世話だなぁ。」と思ったものです。皆さんいかが思われます? また最近一つありました。さすがにもう怒りはしません。この編曲作業をしながら出てきたのですが、ブラームスの悲劇的序曲の中で、 という記号、、、皆さん、見たことありますか? よく見るのは、 スフォルツァンド (スフォルツァート)という記号です。似てはいますがねぇ。 答は、リンフォルツァンド (リンフォルツァート) と読みまして、意味は、「急に強く」というらしいです。ただ、ネットで検索してみると微妙な意味合いがある感じで、ここでは書ききれませんね。皆さんも検索して意味を探ってみてください。 そういうわけで、まだまだ私の知らないことはたくさんあるなぁ、と思いつつ譜面を眺めております。 【参考文献】 バンドメイツのための吹奏楽小事典 / 小澤俊朗 編 / 東亜音楽社 発行 / 音楽之友社 発売 |