ベートーヴェン交響曲第8番 ヘ長調 作品93 の吹奏楽編曲が終わったのが、昨年11月23日。雲吹第8回定期演奏会が12月8日。その中で、第9回の予告を『2008年夏』とだけしていました。それまでの定期演奏会は3~4ヶ月のペースで行っており、その調子で行けば、第9回は2月末には出来るはずだったのですが。『第九』の編曲にはそれだけ時間がかかる、という理由だけで時期を『夏』としたわけではありません。 その後、マーチを作曲したり、吹奏楽コンクールの課題曲に応募しようとしてスケッチを始めたりしておりました。『第九』の編曲に手をつけないでいたのです。 最近になってようやく始めましたが、『第九』の編曲を始めるまでに空白の期間を作ってしまったのです。 その理由というのは、、、 私は編曲するに当たって、まずスコア画像をスキャナで取り込み、音符データに変換しています。そのとき使用しているが、株式会社河合楽器製作所のスコアメーカーです。大変、素晴らしいソフトであり、このソフトがなければベートーヴェン交響曲全曲編曲ということは考えられませんでした。 当初購入したヴァージョンは2.0でした。このバージョンで、『ルイブラス』、交響曲第1、2番、『ウェリントンの勝利』などを変換しましたが、変換効率はあまり良くなく、ほとんど手作業で再入力しておりました。 そういった状況でしたので、全交響曲を編曲し終えるには、年間に2曲として5年は掛かるものと、覚悟したものでした。 その後、ヴァージョン4.0がリリースされていることを知り、購入(2005年8月7日)。その変換効率の向上と、きれいな印刷の譜面を使用すれば更に変換効率が上がる事が分ったことと合わせて、編曲の効率がぐんと上がり、約3年で第8番までを終えることが出来ました。 途中ヴァージョン5.0のリリースがありましたが、体験版で確認してみたところ、4.0と比べて私の必要としている性能のアップがなかったので、ヴァージョンアップはしないでおりました。 さて、『第九』の編曲にすぐに取り掛からなかった理由に、このスコアメーカーの性能が大きく関与しています。それは、パートの数に制限があるということです。作製できる譜面のパート数がバージョン5.0までは最大で16パートまでなのです。更に、1パートは音程の無い打楽器に割り当てられるため、管楽器、弦楽器、音程のある打楽器に使えるのは15パートまでなのです。 交響曲第8番までは、この15パートで足りていたので問題なく変換できていたのですが、『第九』の場合はそうは行かないのです。 第4楽章のパートを書き出してみましょう。 1.ピッコロ 2.フルート 3.オーボエ 4.クラリネット 5.ファゴット I 6.ファゴット II 7.コントラファゴット 8.ホルン(D) 9.ホルン(B) 10.トランペット 11.トロンボーン 12.バストロンボーン 13.トライアングル(*) 14.シンバル(*) 15.バスドラム(*) 16.ティンパニ 17.ソプラノ(ソロ) 18.アルト(ソロ) 19.テナー(ソロ) 20.バリトン(ソロ) 21.ソプラノ(コーラス) 22.アルト(コーラス) 23.テナー I(コーラス) 24.テナー II(コーラス) 25.バス(コーラス) 26.ヴァイオリン I 27.ヴァイオリン II 28.ヴィオラ 29.チェロ 30.コントラバス となり、(*)の音程の無い打楽器を別にしても、27パートあるのです。スコアメーカー4.0では、取り込むことも作成することも出来ません。(ちなみにFinale2005では問題なく作製できるパート数です。) 話が前後してしまうのですが、スコアメーカはヴァージョン5.0の後に6.0に相当するFXというヴァージョンがリリースされました(2006年11月)。このFXでは大幅な機能アップが図られており、最大256パートまで作製できるということで、私は即座にヴァージョンアップをしたのでした。 しかし、その按配は裏ベー全編(2006年12月~2007年1月)で書いたとおり、ここでは再録しませんが、とても私の使用に耐えられるものではありませんでした。サポートへもメールをしましたが、その回答はなんら解決につながるものではありませんでした。 私も努力したのです。ソフトが重いのなら、ハードの性能を上げで対応してみようと。当時、使用していたPCは CPU:AMD Athlon64 3200+ (2.0GHz) メモリ:DDR PC3200 1.5GB でした。これを、 CPU:AMD Athlon64X2 6000+ (3.0GHz) メモリ:DDR2 PC2-6400 2GB としました。まぁ、予算の関係で当時最高スペックとはいえませんが、それなりにハイスペックでしょう。 その結果、確かに効果はありました。4秒掛かっていたコマンドが、2秒で済むようになったのですから。でも、それでも使用に耐えられる速度ではありません。 FXの使用は諦めました。アンインストールし、4.0をインストールしなおし、第8番までは編曲を進めてきたのでした。 そして昨年秋、河合楽器からスコアメーカーのヴァージョンアップの知らせが来たのです。FX2になるという。FXを一回もまともに使ってないのに、ヴァージョンアップですか、、、。どうせ大して変わってないでしょうと思い、しばらく見る気もなく放っておいたのでした。 しばらくして、掃除をしていたとき「捨てる前に中身を見ておくか。」と封を開いてみると、ヴァージョンアップによる改善項目の中に、 高速化と品質の向上 とあったのです。おおっ、高速化ですか。大体ソフトというのはヴァージョンが上がる度に重くなっていくものなのに、高速化とは、、、よっぽどFXは重かったのでしょう。で、早速注文してしまったのかというと、そうではありません。高速化されたといっても、私の使用に耐えられなければ意味がありません。幸いにして、体験版が公開されていたので、早速ダウンロードして、インストール。その使用感は、、、。 確かに、軽くなっています。PCを高速化しても2秒掛かっていたコマンドが1秒程度に。これなら多少もたつく感じですが、何とか使えるかもしれません。買うか? だか待てよ、今回試しに使ってみたスコアは23段16ページの比較的規模の小さい楽章です。これから使いたいのは、「第九」という巨大なデータ(30段156ページ)なのです。果たして、同じような操作感を得られるのか? 答えは分りません。体験版のお試し期間内に「第九」スコアの画像を取り込み確認する時間はありません。ということで、FX2へのヴァージョンアップは止めにしました。まぁ、今年の秋にはFX3が出るでしょうし、それが更に軽くなっていれば考えてみることにしました。 しかし、「第九」を取り込むための手段は無いままです。それをどうしようか考えていたために、この空白の期間が出来てしまったのです。 ここに来て「第九」編曲作業を再開しましたが、それはどのような手段をとるかというと、オケパートと合唱パートの画像を切り分け、各々別に認識させ、Finale2005上でつなぎ合わせることにしたのです。(ブルックナー交響曲第4番第3楽章を編曲したときにすでに使った手法なのですが。)それでも、オケパートは18パートありますので、比較的音の少ないパートを3つカットして、後で手入力することとしています。こういう手間をかけるのに抵抗があったのですよ。 そういったわけで、「第九」編曲は進んでまいります。夏には何とか完成できるのではないかと思っています。 それにしても、今後、吹奏楽向きなロマン派以降の曲を編曲するには、やはり30段程度のスコアが読み込めなければ、辛いものがあります。 何卒FX3が軽くなりますよう、河合楽器製作所様、よろしくお願い申し上げる次第でございます。 |