いよいよメロディーを作ることになるのですが、その前に前回までに登場してきました転回という言葉について、説明してみたいと思います。これまで、説明するのが面倒で「みんな知ってるでしょう」と勝手に思い説明を省いてしまったのですが、メロディーに進む前に説明しておきましょうと考えました。 ドミソをIのコードとしましたが、低い方からドミソとなった場合でも、ソドミ、ミソドと言うように順番が変わってもIのコードということで変わりはありません。このように音の積み重ねの順番を変えることを転回といいます。回転するので転回です。 積み重ね順番を変えると何かいいことがあるのかというと、私も初心者なので詳しいことまでは分からないのですが、コード進行をさせる上で曲想のコントロールすることが出来るのではないかと考えています。 たとえば、I→V→I→Vというコード進行の場合、転回させずに演奏すると、 I→V→I→V(転回なし) というようになって、跳躍が連続し刺激の強い音楽になってしまいます。これを、Vのコードを転回し、シレソとしてみると、 I→V→I→V(Vを転回) このように、刺激的でなくなり滑らかな音楽になります。同じコード進行だとはにわかには信じられませんね。 また逆に、I→I→I→Iというように同じコードを連続させた場合、 I→I→I→I(転回なし) そのとおり、何も変化がありませんが、ドミソ→ソドミ→ミソド→ドミソというように転回させてみると、 I→I→I→I(転回あり) というように、変化をもたらすことが出来ます。先日ちょっと作曲してみたアルプホルンの曲はこの手法を多く使いました。というより、使わないと出来ませんでした。 というわけで、曲想に変化をもたらすにはコードと転回と両方を考えるとよいということが分かりました。テキストで言うと140Pや185Pで説明されております。 では、メロディー作りに入っていきましょう。テキストによると要点は、 メロディ作成に「定石」はない と、言うことでおしまいです、、、、じゃないですよね。これではあまりにも無理です。定石がないのなら何でもよいかというと、そうではないですよね。下手なメロディーより上手いといわれるメロディーを作りたいのです。 というわけで、もう少し読んでみると、 1. メロディーに使いやすい音、使いにくい音を知る。 その小節のコードがIだとすると、コードの構成音ドミソの音が一番合う音になります。次に音階の中のその他の音、レファラシは、それだけを使うとコードとは合いませんが、コードの構成音に付随させると合わないという感じは少なくなります。そして最後に残った、♯、♭のついた変化音。という3つのクループに分けることが出来ます。 料理にたとえてみると、素材と調味料と隠し味みたいな関係ではないかと思います。素材だけでは料理として物足りないし、調味料と、わずかに隠し味が入ることによって味の深みが出るのではないでしょうか。 コードの構成音を時間の長さ的に半分以上、また小節の頭の音や強拍に使うことでメロディーがコードと合ってくることになります。調味料や隠し味はいろいろと試してみて自分のセンスを磨くことになるでしょう。 2. メロティーっぽく音を並べる。 それを知りたいんだよっ、って突っ込みたくなりますので、もう少し具体的に言ってみると、 -1 スケールの構成音を順に並べる -2 アルペジオ(分散和音) -3 同音連打 と言うことになります。1.で上げた音選びをしてある程度の法則を持たせて並べてみましょうということになります。 あとは、自分の好みになるように何回も作り直してみるということですね。 では、実際に第1マーチからメロディー作りをしてみます。 第1マーチのコード進行は、 I→IV→V→I→I→IV→V→I→ I→IV→V→I→I→IV→I→V でした。 まずは、スケール的に並べてみます。 スケールっぽく うーん、やっぱり教則本の音階練習みたいです。動きすぎて忙しないかなぁ、という感じでもあります。 じゃあ、音符の長さを変化させてみましょう。多少、音も変えてみます。 音符の長さ変えて 大分、メロディーっぽくなりましたね。私のセンスではこの程度なのですが、伸ばしの音にリズムを付けて躍動感を持たせてみましょうか。 リズム付加 あまり変化はありませんが、明るく元気なマーチらしくなったと思います。こうやって、だんだん曲らしくなっていくのは、なかなか面白いですね。 次回は第2マーチ、トリオのメロディーを作りたいと思います。 【参考文献】 裏口からの作曲入門 ~予備知識不要の作曲道~ / 御池 鮎樹 / 工学社 |