今回はコードを並べてみましょう。前回は、前奏、間奏、第1、2マーチ、トリオA、Bという6つのパーツを考えました。これらのうちのメロディーのパーツである、第1、2マーチ、トリオA、Bのコード進行を決めてみます。 コードは主要三和音を主に使っていくことになります。この主要三和音について、軽く説明してみます。 ドレミファソラシドというハ長調音階において、ドミソの和音をトニック(T)といい、音階の1番目の音(ド) が基本(根音といいます)になっているのでIと表します。 ファラドの和音をサブドミナント(SD)といい、音階の4番目の音(ファ)が根音ですのでIVと表します。 ソシレの和音はドミナント(D)といい、音階の5番目の音(ソ)が根音になっていますのでVと表します。 これらを主要三和音といいます。この三つの和音にはそれぞれ性格というか、キャラクターのようなものがあります。 Iは基本のコードですから、最も安定し落ち着きを感じるコードです。本書の中では「自宅」に例えられています。 Vはもっとも不安定なコードなのだそうです。緊張感があるコードとなります。本書の中では「職場」に例えられています。私などは、会社にいるときはいつも家に帰りたく思っていて、あまり行きたくない所なのですが、生活のためのお金を得るためには行かなければなりません。そういった感じの重要なコードでもあります。V→Iという進行をさせると、会社から帰宅するような安心感が得られるということになります。 IVはVに近いのですが、それほど緊張感は無いので、「デパート」に例えられています。「デパート」は買い物が済めば長居する必要の無いところですから(長居する人もいるでしょうけれど)、やはり「自宅」へ帰りたくなります。 これらの「自宅」「職場」「デパート」の行き来のパターンは自由に考えていいのですが、V→IVという進行は(一応)禁止なのだそうです。会社帰りにデパートに寄ることはよくあると思うのですがね。逆にIV→Vという進行はOKなのだそうです。職場に行く前に買い物をするってのも、変な話ですね。お茶菓子でも買うのでしょうか。 私たちの生活においてあるサイクルがありますように、コード進行もランダムに並べるよりサイクルを持たせた方が曲らしくなります。ただ、同じサイクルが続きますと飽きてしまいますので、時々変化をもたせるのが良いようです。 作曲するに当たっては、自分がどんな曲を作りたいかと考えることが重要ですから、そこから考えてみましょう。 基本的にマーチなので「明るく元気にカッコ良く」ですよね。各パーツについても、それに通じる曲想を考えます。 第1マーチは基本ですから、「明るさ」と「元気よさ」を前面に出したいと思います。 第2マーチは少し性格を変えて「クールさ」と「カッコ良さ」を表したいと思います。 トリオAのでは、方向を変えまして「やさしさ」や「温かさ」ですね。 トリオBはトリオAの厚みを増していくような感じで「温かさ」から「情熱」へ盛り上げるようにしたいなぁ、と考えました。 そのあと戻って第1マーチ、第2マーチへと進み、カッコ良く終わるという寸法です。 長々と準備をしてまいりましたが、コード進行を考えてみましょう。最初の曲ですので、あまり難しいことは考えないようにします。16小節を2つずつまとめ8つのコードを並べます。さらに言いますと4つ並べたのを2回繰り返すというパターンにします。 第1マーチ 「明るく元気良く」ですから、基本的なパターンで、 I→IV→V→I→I→IV→V→I これで16小節分です。繰り返して32小節にするわけですが、最後までまったく同じというのも飽きますし、最後の4小節は第2マーチへのつなぎを意識してみます。 I→IV→V→I→I→IV→V→I→I→IV→V→I→I→IV→I→V 音にしてみるとこんな感じです。第1マーチMIDIファイル 第2マーチ 第2マーチは「クールでカッコ良く」したいので、マイナーコードも使いたいなぁ、などと欲を出してみます。ちなみにI、IV、Vはすべてメジャーコードです。マイナーコードというとII(レファラ)、III(ミソシ)、VI(ラドミ)となります。キャラクター的に言うと、近所のスーパー、行きつけの飲み屋、仕事での出張先とかなんとか、テキトーに考えてみましたが、なんだかカッコ良さとはかけ離れてきてしまいました。 一応、これらにも禁止や縛りがありまして、 必ずII→V、必ずV→IまたはVI、IV→VIは禁止、VI→Iは禁止。 となっております。ええっとそうすると、近所のスーパーへ行ったら必ず会社へ行かなくてはならなくて、会社のあとは帰宅か出張、デパートから出張へ行ってはいけなくて、出張から帰宅はダメですか。なんだかなぁ、、、。 ではクールにカッコよく並べてみましょう。 第1マーチの最後はVでしたので、縛りにしたがってVIから始めてみましょう。と、ここまできたところで、そろそろいい分量を書いてしまったので次回に回したいと思います。 【参考文献】 裏口からの作曲入門 ~予備知識不要の作曲道~ / 御池 鮎樹 / 工学社 |