それでは、「裏口からの作曲入門 予備知識不要の作曲道」(御池 鮎樹 著 / 工学社 刊)をテキストにしまして、マーチの作曲を行いたいと思います。 吹奏楽といえば「マーチ」と言えるほど、吹奏楽では重要なレパートリーになっています。一口にマーチと申しましても、実際に行進のために演奏される実用音楽としてのマーチと、芸術性の高いコンサート用に作曲されたマーチに分けることが出来ます。前者は、特に音楽に親しんでいない方でも運動会などでよく耳にされるでしょう。代表的な作曲家としてはJ.P.スーザが上げられます。後者は、純粋にクラシック曲と言って良く、作曲家もマジメに作曲しているので難しい曲になっています。実際に行進には不適な曲も多いでしょう。 さて、ここで私が作曲をしようとしているのは前者であります。スタイルも決まっていますので、この本の著者が言う「裏口からの作曲法」に合っているからです。というわけで始めてみましょう。 本書による作曲の進め方は、 1章 作曲の前準備 2章 コード・パートを作る 3章 リズム・パートを作る 4章 ベース・パートを作る 5章 メロディを作る 6章 アレンジで曲の完成度を高める となっております。 1章から、と言いたい所ですが、ここは楽譜の読み方から音階までですので、さすがに飛ばしてもいいでしょう。(といいつつ読んでしまいました。) では、2章から。 和音には、主要三和音というのがありまして、ドミソ、ファラド、ソシレというやつですが、これを並べていくことで曲の骨組みが出来るというわけです。並べ方は基本的に自由ですが、避けたほうが良い並べ方など一様のキマリがありますし、パターン化して繰り返すという手法を使うほうが曲らしくなるということです。まぁ、その辺のノウハウが、この本の命になっていますので、ここで書いてしまいますとアレですので、お知りになりたい方は入手してみてください。 コードを並べるといいましても際限なく並べるわけではありません。先に書きましたように、マーチにはスタイルがあります。まず、それによりまして構成、小節数を決めたいと思います。 マーチの構成もいろいろありますが、 前奏 (軽いファンファーレみたいなもんでしょう) 第一マーチ (Aメロというヤツですかね) 第二マーチ (Bメロですね) 間奏 (前奏よりも軽いファンファーレ) トリオ (サビみたいなもんでしょうか) ここで冒頭に戻って(ダ・カーポ)第二マーチまででおしまい というのにしてみましょう。まぁ、オーソドックスなパターンです。 全体で3分間くらいの曲にしたいので、一拍を1分間に120として、一小節(二拍)で1秒ですから、180小節の曲になります。繰り返しもありますので、譜面としての小節数はそれよりも少なくなります。 小節数を割り振ってみましょう。 前奏 8小節 第一マーチ 16小節×2(繰り返し) 第二マーチ 16小節×2(繰り返し) 間奏 4小節 トリオ 16小節×2(繰り返し) 前奏 8小節 第一マーチ 16小節(繰り返しなし) 第二マーチ 16小節(繰り返しなし) さて、合計は。148小節ですね。180に32足りません。ということで、トリオをもう一つ増やしてみましょう。 前奏 8小節 第一マーチ 16小節×2(繰り返し) 第二マーチ 16小節×2(繰り返し) 間奏 4小節 トリオA 16小節×2(繰り返し) トリオB 16小節×2(繰り返し) 前奏 8小節 第一マーチ 16小節(繰り返しなし) 第二マーチ 16小節(繰り返しなし) これで、めでたく180小節になりました。3分間の曲の枠が出来上がったことになります。実際に作曲するのは76小節ですので、ちょっとズルイかなぁ、という気もしますが、何事も最初はとにかくやってみることが大事ですので、これでやってみましょう。 次回は、この小節にコードを並べていくことになります。 こんな感じで、ネタを小出しにして連載していこうと思うのですが、これって何かに似ているなぁ、と思いませんか? DeAGOSTINI (毎週ちょっとづつお届け)って聞こえてきそうです。 【参考文献】 裏口からの作曲入門 ~予備知識不要の作曲道~ / 御池 鮎樹 / 工学社 |