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92.冗談音楽の中のベートーヴェン

2007.6.23


 冗談音楽という一種のジャンルがありまして、私はこれが好きなのですが、かといってコレクターといえるほど収集しているわけではなく、まぁ、気が向いたときに目に止まったCDを買った程度です。
 そもそも冗談音楽を知ったきっかけというのは、中学時代の吹奏楽顧問の先生の家に遊びに行ったときに、「面白いものを聞かせてやる。」といって聞かされたものです。多分、先生の大学時代の頃にNHK-FMで特集を組まれたものを録音したものでした。そのテープは、後でダビングさせてもらったのですが、何かの拍子に消してしまったのです。うーん残念。

 そもそも、音楽家やミュージシャンには冗談好きが多く、ことあれば人を騙そうと考えているのではないかと思っています。
 古くは、モーツァルトが「音楽の冗談」を作曲していますし、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」も他人のメロディーを借用してきてデフォルメしているところがいくつもあります。

 冗談音楽の大家として有名なところでは、ホフナング、スパイク・ジョーンズ、P.D.Q.バッハなどが挙げられるでしょう。ホフナングは冗談音楽だけで音楽祭を開いて('56,'58,'61)いて、その後も数多く開催され'88のライブCDを私は持っています。日本でも'92に新日フィルがやっていますね。
 スバイクジョーンズは残念ながら私は聞いたことはありません(多分)。P.D.Q.バッハはCDを一枚持っています。序曲1712年というヤツ。タイトルだけで笑っちゃいますよ。
 まぁ、この程度しか知らないのですけれど。

 それでは、その中でベートーヴェンを扱ったものをいくつかピックアップしたいと思います。実際の音は、どこからか探して聴いてみてください。

 まずはホフナング音楽祭から、
1. 序曲「レオノーレ」第4番
 実際にベートーヴェンが書いたのは第3番までですね。きっと気に入らなくて3番まで書き直したのでしょうから、もしかしたら3番も気にいなかったのかも? ということで第4番の登場です。
 曲のベースは第3番ですが、極端にデフォルメされたり豪快な脱線振りです。

2. ヴァイオリンと管弦楽のための「恋の協奏曲」
 ヴァイオリン協奏曲の演奏に間違えてソリストを男女二人手配してしまった。演奏は始まるが二人はお互いに譲らない。が、しかし、最後には恋に落ちて行くというストーリー。
 曲の出だしは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲なのですが、その後はいろいろな作曲家の協奏曲が目紛しく登場します。

3. ピアノと管弦楽のための不協奏曲
 指揮者とソリストの不仲を表現した名曲。「皇帝」のカデンツァがギャグっぽく登場。その後、有名な曲が次から次へと展開していきます。


 次に、「世紀の競演!13人によるピアノ・コンサートライブ」と言うレコードから。13人のピアニストが集ったチャリティーコンサートのライブ録音(1974年)です。
4. トルコ行進曲
 8人(ピアノ8台?)による演奏です。まず普通に一回演奏。拍手をもらってから、再度アドリブを交えて。ユーモアたっぷりです。

 最後に、冒頭に述べた中学の先生のテープに入っていたものの中から、元ネタはどこかわりません。(先生まだテープ持っているかなぁ?)
5. 実況放送風「運命」
 スポーツ実況放送風にアナウンサーと解説者が演奏を解説すると言うもの。当然、演奏と解説が同時進行しますから、演奏の方はマトモに聴くことは出来ません。


 とまぁ、私はクラシックの聴き始めからこんなものを喜んで聴いていたわけで、当然元ネタより先にパロディを知ってしまうのですね。あとで、元の曲(真面目な演奏です)を聴いて、妙に可笑しくなってしまうこともあり、なんとも困ったことであります。

【参考文献】
HOFFNUNG'S MUSICFESTIVALS / 元祖!ホフナング音楽祭のすべて / 東芝EMI TOCE-6248・49

THE HOFFNUGG FESTIVAL OF MUSIC / Royal Festival Hall,1988 / LONDON FOOL-20418/9

世紀の競演!13人によるピアノ・コンサートライブ / テレフケンレコード(キングレコード) K25C-75

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